1日20分の早歩きは、心臓をはじめとする循環器系に多岐にわたる良い影響をもたらします。特別な器具や場所を必要とせず、誰でも始めやすい手軽さも大きな魅力です。
1日20分の早歩き
心臓の健康を保つために、特別な運動は必要ありません。実は、身近な「早歩き」を1日たった20分行うだけで、心臓は驚くほど強化されます。なぜ、この手軽な運動があなたの心臓にとって最高のクスリとなるのか、その具体的な理由を見ていきましょう。
余分な内臓脂肪は心臓にとって大きな負担
冬はややもすると屋内にいる時間が長くなり、運動不足になりがちです。そのため、余分な内臓脂肪がたまりやすくなります。内臓脂肪は単なる脂肪のかたまりではありません。じつは、血圧を高くする物質、血液を固まりやすくする物質、血糖値を上げる物質など、とんでもない物質を生産する化学工場のようなもので、心臓にとっても最悪の敵なのです。
そこで、まず内臓脂肪の量を簡単にチェックしてみましょう。ウエストまわり(cm)を身長(cm)で割った数値が0.5以上なら、かなり危ないと思ってください。できれば、この数値を0.4程度に下げたいところです。
早歩きは心臓を元気にする
手軽にできて、なおかつ内臓脂肪を落とす効果が高い運動としておすすめしたいのは、やはり「早歩き」。ふつうに歩くと1分間に100歩くらいになりますが、それよりも少し歩を早め、1秒に2歩、1分間に120歩くらいを目安にする早歩きです。この歩き方でで加分程度歩くと約2500歩になります。外での仕事を持たない人の場合、1日の歩数は5000歩くらいとされますが、できれば最低7500歩は歩きたいので、この早歩きを20分程度おこなうとよいでしょう。
また、以前は連続して20分間以上歩きつづけなくては脂肪を燃焼させる効果がないといわれていましたが、最近の研究で、途中で休憩などを入れても、合わせて20分になれば、効果は変わらないということがわかりました。この運動は、できれば毎日おこなうのがよいのですが、むずかしい場合は3日に1度くらいのペースでもよいでしょう。
1日20分の早歩きが心臓によい理由 まとめ
1. 心臓のポンプ機能を強化する
早歩きのような適度な有酸素運動は、心臓を効率的に鍛えます。運動によって心臓はより多くの血液を全身に送り出す必要が生じるため、収縮力が向上し、一度に送り出す血液量(一回拍出量)が増えます。これにより、安静時の心拍数が安定し、心臓がより少ない拍動で効率的に血液を循環させられるようになります。
2. 血管の健康を促進し、動脈硬化を予防・改善する
早歩きは、血管の内皮細胞に刺激を与え、血管を広げる作用のある一酸化窒素(NO)の産生を促します。これにより血管がしなやかになり、血流がスムーズになります。また、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす効果も期待でき、動脈硬化の進行を遅らせたり、改善したりすることに繋がります。動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中の主な原因となるため、その予防は心臓病リスクの軽減に直結します。
3. 血圧を安定させる
運動習慣は、高血圧の改善に非常に効果的です。早歩きを継続することで、血管が広がりやすくなり、自律神経のバランスも整うため、血圧が安定しやすくなります。高血圧は心臓に大きな負担をかけ、心肥大や心不全のリスクを高めるため、血圧のコントロールは心臓の健康維持に不可欠です。
4. 血糖値の管理と糖尿病リスクの軽減
運動は、インスリンの働きを助け、血液中の糖を細胞に取り込みやすくします。これにより、食後の急激な血糖値上昇を抑え、血糖値を安定させる効果があります。糖尿病は、動脈硬化を促進し、心臓病リスクを大幅に高めるため、血糖値の適切な管理は心臓を守る上で非常に重要です。
5. 肥満の解消と体重管理
早歩きは、継続することで消費カロリーを増やし、体脂肪の燃焼を促進します。肥満は高血圧、脂質異常症、糖尿病といった心臓病の危険因子を複合的に悪化させるため、体重を適切に管理することは心臓への負担を軽減し、心臓病リスクを下げることに繋がります。
6. ストレス軽減と自律神経のバランス調整
運動はストレスホルモンの分泌を抑制し、精神的なリラックス効果をもたらします。また、自律神経のバランスを整え、心拍数や血圧の急激な変動を抑える働きもあります。慢性的なストレスは心臓に負担をかける要因となるため、ストレスの軽減は心臓の健康を保つ上で非常に重要です。
毎日続けるためのポイント
- 無理なく始める: 最初から20分が難しい場合は、10分から始めて徐々に時間を延ばしましょう。
- 「少し息が弾む」「軽く汗ばむ」程度: これが早歩きの目安です。隣の人と会話ができるくらいのペースが理想的です。
- 継続が力: 毎日続けることが大切ですが、無理は禁物です。週に3〜5日でも十分効果は期待できます。
- ルーティン化: 毎日決まった時間やコースを決める、通勤・通学に取り入れるなど、生活習慣の一部にすると続けやすくなります。
1日たった20分の早歩きでも、心臓にとって非常に多くのメリットがあります。今日からでも、ぜひ「歩く」習慣を取り入れて、心臓の健康寿命を延ばしましょう。