1日1杯の赤ワインか紅茶

赤ワインは血管をやわらかくする

これも最近の研究で、「赤ワインは血管内皮に働きかけ、一酸化窒素の生産を促進し、血管の拡張性、柔軟性を高める」という報告がありました。赤ワインの健康効果については、いろいろと紹介されていますが、この研究はたいへん具体的で、とくに注目に値するといえます。
一酸化窒素は、血管の内側のなめらかさを保つために必要な物質で、血管内皮から生み出されるようになっています。しかし、その生産量が少なくなると、血管はやわらかさとなめらかさを失い、動脈硬化を招き、血栓ができやすくなる原因となるのです。

しかし、すばらしい効果があるとはいっても赤ワインはお酒ですから、適量を超えて飲んではなりません。血管をやわらかくするためならば、1日にグラス1杯程度で十分です。また、この効果を生み出す成分はワインの赤い色素のなかに含まれているものなので、加熱しても失われません。つまり、料理などにワインを使って火を通しても効果は損なわれないということです。

紅茶には血管を広げる効果

アルコールは苦手だし、毎日ワインを使って料理をつくるわけにもいかない、という人もいるかもしれません。そんな人にもよい方法があります。赤ワインとおなじように、紅茶にも血管を拡張して血流を促進する効果があるのです。
紅茶に含まれているフラボノイドという抗酸化物質には、血管を広げる働きがあります。血管を広げるというのは、必要なときに十分な血液が流れるような状態にすることです。
健康な大人の場合、必要に応じて通常の3倍から4倍の血液を送ることができますが、動脈硬化などで血管の柔軟性が失われていると、いざというときに血管が広がらず、血流が滞ってしまいます。紅茶には、そのような状態を改善し、血流をよくする効果が期待できるわけです。1日1杯の紅茶で、弱った心臓をいたわり、丈夫にしましょう。

心臓の疲れは睡眠中の姿勢にも影響する

こちらでは心臓は姿勢が大事ということを紹介しましたが、睡眠中の姿勢も非常に重要だということです。最近の研究で、「心臓が弱っている人は、体の右側を下にして寝る傾向があり、それが心臓の機能に明らかに関係していることがわかった」という報告があります。

データを見ると、健康な人の場合は右側、左側のどちらを下にするかはほぼ半々ですが、心臓が弱っている人はかなり高い割合で右側を下にして寝ているようです。どうしてそうなるのかといいますと、体の右側を下にして寝るほうが、左側を下にするよりも心臓にかかる重みが少なく、血液を押し出す負担も軽くなるのです。

健康ならば、おなじ側ばかりを向いて寝ることはストレスになるはず。なのに、心臓が弱っていると、無意識のうちに少しでも楽な側ばかり向いてしまうというわけです。睡眠中にどんな姿勢をしているのかは、自分ではなかなか知りにくいことですが、もし、毎朝、目覚めたときにいつも体の右側を下にしているようならば、「心臓が弱っているのかもしれない」と考えなければいけません。

心臓が弱っていると、当然のことながら、心筋梗塞などの心臓疾患を招く原因になります。とくに冬場は、寒さで血管が収縮して血流が下がることで、心臓の負担が重くなる季節です。また、自律神経も乱れがちで、心臓病の危険性も高まります。この季節にこそ、疲れている心臓をいたわり、元気にすることが大切です。

カレーが心筋梗塞の予防に

誰でも中高年になると不安になるのが心心筋梗塞などの心臓病です。死亡率が30年間で25倍に増加しているということ、死亡率が第2位、突然死の70% が心筋梗塞など恐ろしい数字とともに私たちに恐怖を与えます。

周囲の親戚や親、そして会社の同僚などが入院するのは心筋梗塞や脳梗塞などです。「まだまだ若いから大丈夫だなんてと思っていると俺みたいになるよ」なんて言われると、ドキドキしてしまいます。

心筋梗塞は、そのほとんどが動脈硬化によるものですが、少し大げさな言い方をすれば、すべての人が動脈硬化になっているのです。つまり、人間は生まれると同時にものを食べ始め、それと同時に血液の中のコレステロールが増えていくのです。

年をとればとるほど、血液の汚れは進み、その汚れが血管の内側にくっつき血管が固くなります。これが動脈硬化です。ということは、すべての人が心筋梗塞になる可能性があるのです。心筋梗塞をあまりに気にすると食べることが怖くなってしまいますが、食べることが心筋梗塞を防ぐという食品もあります。

それがカレー粉の中に含まれる微量の アスピリン です。 アスピリン といえば風邪薬に代表される成分ですがが、意外に食品の中にも含まれている物質です。では、この アスピリン はどのように心筋梗塞を防ぐのでしょうか?

私たちの体は外部からの刺激を受けると、細胞を通じて アラキドン酸 という物質をつくりだします。 アラキドン酸 の作用は2通りあり、その1つは血管を収縮させる働きで、もう1つは血管を広げる働きです。どうしてこんな正反対の作用が同時に働いてしまうのかはよく判明されていませんが、とにかく私たちに必要なのは、明らかに後者の血管を広げる働きです。

そこでアスピリンが、たまたまその嫌なほうの働きのみを阻止してくれるというわけです。その結果、アラキドン酸が血管を広げ、心筋梗塞を防ぐことができるのです。

では、風邪薬のアスピリンの錠剤を常用すれば心筋梗塞にならないのでしょうか。それは間違いです。アスピリンの量が多いと、アラキドン酸の血管を広げる働きまで止めてしまうためです。風邪薬の錠剤では量が多すぎます。

適量は食品の中に含まれているくらいの量なのですが、では、どのような食品にアスピリンは含まれているのでしょうか? それは、カレー粉やイチゴ、オレンジ、なす、パイナップル、ブルーベリー、ピーナッツ、レーズンといった食品です。このような食品をうまく食事のメニューに取り入れることが大切です。

このような食品を規則的にとっていても、絶対に心筋梗塞にならないというわけではありません。血管を収縮させる喫煙や、心臓に負担がかかる肥満なども血管をふさぐ原因となります。狭くなった血管に急激に血液を送るような、激しい運動や入浴も発病のきっかけになります。喫煙は特にリスクになるので今日から禁煙しましょう。

心筋梗塞にはその前兆として胸の痛みがあります。心配な人は病院で心電図や血圧などを見てもらいましょう。特に自営業の人は人間ドッグなどを定期的に受けていない人が多いので検査を受けましょう。