動脈硬化 防ぐ食習慣 毎日の食事を意識することで心臓病を遠ざける

動脈硬化 防ぐ食習慣

動脈硬化 防ぐ食習慣 毎日の食事を意識することで心臓病を遠ざけることができます。1日3食の食事の基本をしっかり守れば、たまに暴飲暴食をしてもすぐに正常化のために戻すことができます。

動脈硬化 防ぐ食習慣

バランスの良い食事が動脈硬化予防の基本です。野菜や魚、適度な脂肪を中心にした食事を心がけ、塩分や糖分の摂取を控えることで、血管の健康を守ることができます。また、規則正しい生活や適度な運動もあわせて実践することが重要です。

糖質の摂取の目安

日本人は、食事事情がよくなってから最近まで、総摂取エネルギー源の割合は、約60~70% が糖質、約10~15% がたんぱく質、約20~25% が脂肪でした。

この比率は肉食中心で脂質をとり過ぎ、動脈硬化性の病気による死亡率が高い欧米の人たちから見ると理想的で、日本型食事として注目されました。

ところが最近は、日本人の脂質の摂取量も25% の上限を超えています。
その一方、ごはんを中心とする糖質の割合が減っています。
糖質では、体内への吸収が速い砂糖などではなく、穀類が勧められています。穀類の複合糖質は体内にゆっくり吸収され、食物繊維やビタミン、ミネラルも含まれます。特にごはんのような粒の食事は、かみごたえがあり満腹感が得られやすいものです。このため、最近の栄養管理では、ごはんを核として栄養素を配分することで、生活習慣病を改善しようとの考え方が基本となっています。このような食事をすることは、虚血性心臓病に限らず、全身の病気の予防に役立ちます。

どうしても糖質多め がやめられない場合は、糖質カットサプリの活用も考えるといいかもしれません。

バランスのいい食事

最近は、食品の栄養素以外に、さまざまな機能成分の有効性が説かれています。動脈硬化や虚血性心臓病を防ぐには、血液がサラサラになる食品がよい、といった情報も喧伝されていますが、食べものはすべて「過ぎたるはおよばざるがごとし」、不足すれば健康を損ないます。食品の効果を理解することは大切ですが、自分の状態に合った取り方をすることが、さらに重要です。

動脈硬化そして虚血性心臓病を防ぐ食事の基本は、簡単にいえば、多種多様な食品を過不足なくとることです。

ただ、いつでもどこでも、手軽に食べものが手に入る環境では、食べ過ぎ飲み過ぎ、とくに脂肪分や塩分が多過ぎる食事に注意が必要です。また、食事以外のいわゆる間食( 飲みものも含みます ) の取り過ぎにも注意しなければなりません。

ここでは動脈硬化の予防によい成分を紹介しますが、くれぐれも自分の状態に合った取り方をしてください。心配な場合は、かかりつけの病院の栄養相談室などで相談するのもよい方法です。

食物繊維が大切

食物繊維は大きく2種類に分類されます。根菜やきのこなどに多く含まれる非水溶性食物繊維は、腸内で便のかさを増し、胆汁酸やコレステロールを吸着して体外に排泄します。
海藻やこんにゃく、果物などに多く含まれる水溶性食物繊維は、非水溶性食物繊維と同様の働きをするほか、糖質が腸管で吸収されるのを抑え、結果として、肝臓でのコレステロールや中性脂肪の合成を防ぐとされています。
食物繊維はエネルギーがほとんどなく、カサを増やし、かみごたえもあるので、低エネルギー食で満足するときの強い味方にもなります。便秘解消にも強力に役立ちます。

抗酸化物質で悪玉化を防止

血液中にだぶついたコレステロールは酸化など変性が進むと、血管壁内のマクロファージにとり込まれ、動脈硬化を促進します。ビタミンCやE、体内でビタミンAに変わるカロテノイド( ベータ・カロテン ) 、そして、ポリフェノールは有力な抗酸化物質です。

ホモシステインを抑えるビタミン頬

血中のホモシステインが多くなり過ぎると活性酸素を生じ、血管内皮障害や血小板の凝集を引き起こし動脈硬化を促進します。

葉酸、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12は、ホモシステインの産生を抑制し、これらの栄養素を同時にとると、虚血性心臓病の危険性が低下するという研究があります。これらのビタミンはふつうの食事では不足しませんが、偏食が続いたり、極端な小食で足りなくなることがあります。外食やインスタント食品をとる回数を減らし、素材を生かした食事を多くすると自然にとりやすくなります。

ミネラルはバランスよく

ミネラルは、体内でバランスを取り合って、心筋や平滑筋の収縮や刺激伝導系の調節にかかわったり、血圧の調整にあたる役割があります。
ナトリウム塩のとり過ぎがいけないのは、ナトリウムの作用のせいです。ナトリウムは血圧を上げる作用があり、とり過ぎると、心臓や腎臓への負担が増します。
塩分は一日5g 以下でもじゅうぶんですが、日本人の食事では1一日平均13g 前後の塩分をとっているため、当面の目標として、1日10g 未満に設定されています。外食やインスタント食品の割合が多くなると、塩分のとり過ぎにつながります。

動脈硬化を防ぐ バランスのいい食事

バランスのいい食事といってもどんなメニューならバランスがいいのかわからない人もいると想いますので、メニュー例を紹介します。参考にしてください。

朝食

  • 主食:オートミール(牛乳または豆乳で煮る)+ブルーベリー、バナナのトッピング
  • 副菜:蒸し野菜のサラダ(ブロッコリー、パプリカ、ミニトマト)+オリーブオイルとレモンのドレッシング
  • 主菜:ゆで卵(1個)または納豆
  • 飲み物:緑茶または無糖の豆乳

ポイント

  • オートミールの水溶性食物繊維がコレステロールを低下させる。
  • カラフルな野菜で抗酸化物質を摂取。

昼食

  • 主食:玄米ごはん(または雑穀米)
  • 主菜:鯖の塩焼き(青魚でEPA・DHAを摂取)
  • 副菜1:ほうれん草のお浸し(醤油少なめ)
  • 副菜2:ひじきと大豆の煮物(食物繊維と植物性タンパク質)
  • 汁物:わかめと豆腐の味噌汁(減塩味噌使用)
  • 飲み物:水またはほうじ茶

ポイント

  • 魚や大豆製品で良質な脂肪やタンパク質を補給。
  • 塩分を控えた味付けで高血圧を予防。

夕食

  • 主食:全粒粉のパンまたは玄米リゾット
  • 主菜:鶏むね肉のグリル(ハーブやスパイスで味付け)
  • 副菜1:アボカドとトマトのサラダ(オリーブオイルとバルサミコ酢を添える)
  • 副菜2:蒸しブロッコリーとカボチャのソテー(ニンニクと少量のバターで風味付け)
  • スープ:ミネストローネ(たっぷりの野菜と豆類を加えて)
  • 飲み物:水または赤ワイン(適量)

ポイント

  • 鶏むね肉は低脂肪高タンパク。
  • トマトやアボカドで抗酸化成分と良質な脂肪を摂取。

間食(必要なら)

  • ナッツ(アーモンドやくるみ、塩不使用)
  • ダークチョコレート(カカオ70%以上、適量)
  • 無糖ヨーグルト(はちみつやシナモンを少量加えて)

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食事

高齢者が生活をする上で気を付ける点

全身状態の影響から急変も多い

高齢者は、高齢であるというだけで動脈硬化の危険因子を持っていることになります。冠動脈硬化だけでなく、全身の動脈硬化が進んでいる可能性があります。
狭心症あるいは心筋梗塞の患者さんでは、脳血管障害や大動脈癖、下肢の閉塞性動脈硬化などのチェックも欠かせません。
高血圧、腎機能の低下、耐糖能(血糖のコントロール) の低下などを伴っていることも少なくありません。病気を発症すると、急変することも考えておかないといけません。軽いかぜから肺炎を併発し、心肺機能が急速に低下するといったことも起こります。

痛みの自覚症状がない場合も

症状が典型的でないことも知っておく必要があります。胸痛が起こらず、息切れや動惇程度で狭心症を発症していたり、急性心筋梗塞でも、痛みを訴えることなく意識がなくなるといったことが起こります。
急性心筋梗塞では、高齢の患者さんの約3割は胸痛を感じていなかったというデータもあります。とくに糖尿病で神経障害があったり、大脳に障害がある人では、こうした無症候性の心筋虚血が起こることがあります。
食欲がない、口数が少なくなった、など、「いつもと違う」ということが、異変をとらえる大きなポイントになります。以上のことを考えると、病気を抱えるお年寄りでは、介護保険の訪問看護サービスなどを利用して、ふだんから専門家に病気の管理をしてもらうのも一つの方法です。訪問看護では緊急の対応にも応じてもらえます。

高齢者の場合、長年続けてきた生活習慣を変更することはなかなか困難ですが、危険因子をできるだけ減らすことは大切です。
禁煙は今さらと思っても、実行するにこしたことはありません。心臓だけでなく腎機能の低下などを考えると、食事を出来る限り薄味にすることも大切です。
ただ高齢になって、あれもだめ、これもだめと強制することは、意欲の低下にもつながります。主治医と相談し、様子を見ながら、できることから取り入れていくのがよいでしょう。
年をとると外出がおっくうになり、筋力も呼吸の能力も低下しがちになります。デイサービスを利用したり、家のなかで簡単な体操をするなどの習慣をつけるのもよいことでしょう。

女性の虚血性心臓病の人が生活をする上で気を付ける点

閉経後は、動脈硬化がすすみやすい

女性ホルモンのエストロゲンは、肝臓のLDL受容体を増やして血清中のLDL圧を安定させ、血糖値のコントロールにも大きな役割を果たしています。
また血管に直接作用して血管の収縮をコントロールしたり、内皮細胞や血管平滑筋細胞などの作用にも影響をおよぼしています。
閉経前の女性では、男性に比べて虚血性心臓病を発症する率が非常に低いのですが、閉経後は、高脂血症、高血圧、高血糖、肥満などが同時進行的に増加することが多いようです。年をとるにつれて動脈硬化が進行し、65歳以上の女性の心筋梗塞は男性とほぼ同率になります。

更年期後は、健康に注意

更年期前後の女性では、労作性狭心症と同様の胸痛が起こることも少なくありません。更年期に伴う自律神経の失調や、過労、睡眠不足、ストレスなどが誘因となっていると考えられています。原因がはっきりしないケースも多く、今後臨床の結果が待たれます。
この時期は血圧も不安定になることがあり、めまいや起立性低血圧を起こす人もいます。更年期の症状は、年齢のせいだからしかたがないと考えがちです。また、男性に比べると、健康診断を利用する人が少なく、とくにからだに負担がかかる検査に対して消極的であるというデータもあります。更年期前後には健康の総点検として、自覚症状がなくても健康診断を受けることが大切です。
その後も、毎年一回は健康チェックを受けるようにしたいものです。更年期前後には、基礎代謝量も減ってきます。エストロゲンの急激な減少も加わり、太る人が少なくありません。食べ過ぎにも注意するとともにふだんから活動量を増やすことも大切です。運動は、更年期にありがちな自律神経のアンバランスを整える作用もあります。

ホルモン療法も

更年期障害の治療法として行われるホルモン補充療法(HRT) は、高LPa血症などの高脂血症、骨粗餐症の予防としても有効であることがわかっています。ただし、血栓症があったり、乳がんの患者さんは、エストロゲンが病状を悪化させるので利用できません。
副作用として乳がんの発症が問題になっていますが、これは定期検診により早く発見できれば治療が可能です。作用と副作用を勘案し、抗高脂血症薬などの服用も含めて検討することが大切でしょう。

閉経前から危険因子には注意する

閉経前の女性は、男性に比べて虚血性心臓病の発症が少ないのですが、エストロゲンが減少してくる月経前には、狭心症の発症率が高くなります。喫煙や高脂血症、家族歴などがある女性では、エストロゲンが最も少なくなる月経直後に、心筋梗塞が起こりやすいとの報告があります。
喫煙は動脈硬化の重大な危険因子ですが、女性の喫煙率はなかなか減りません。若い女性では、やせていてもコレステロールが多い人がいます。虚血性心臓病は、危険因子が重なると発症しやすくなります。禁煙、運動、適切な食事療法を行って、少しでも危険因子を減らすことが大切です。