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胸痛の原因はさまざまだが、体を曲げる動作や深呼吸で痛みが増せば肋間神経痛

実際に痛む部位を指で押してみる

胸の痛みは、狭心症や急性心筋梗塞の代表的な症状といわれています。胸の奥が圧迫されるような痛みが突然起こったなら、これらの心臓病が疑われます。

狭心症や心筋梗塞など、虚血性の病気では、重症であれば血圧が急激に下がり、顔面や胸・背中などに冷や汗をかきます。これらは、虚血性の病気と非虚血性の病気を見分ける判断材料になります。

とはいえ、胸痛の大半は、虚血性の心臓病とは問係がありません。胸が痛くなると、誰しも不安になるものですが、生命に危険のない胸痛のほうが圧倒的に多いのです。

胸痛を訴えてきたときには、痛む場所を指で押してみます。こうすることによって、内臓からの痛みなのか、神経・筋肉・骨など体の表面の痛みなのか、緊急処置を要するかどうかを判定できるのです。

「痛い!」と叫んだときは、体の表面の痛みです。一方、体の深部にある内臓の痛みなら、指で押しても痛みに変化はありません。痛む範囲が狭く、痛む場所を指1本で指し示せるようなときは、心臓病や内臓の病気ではないと思って大丈夫です。

胸痛によって救急搬送されてきても狭心症ではなかった方は多数います。その中で多いものの1つが、肋骨に沿って走る神経痛む肋間神経痛です。

肋間神経痛では、体を曲げたり、深呼吸をしたりしたときに強い痛みが走ります。肋骨の骨折や、筋肉痛の場合も同様です。これらには、痛む範囲が狭い、痛みが針で刺したように痛いといった特徴もあります。また、通常は左右のどちらか片側にだけ胸痛が現れます。

さらに最近、狭心症の疑いありとして紹介された主婦の方が、実は愛犬の死がきっかけで起こったペットロス症候群だったということもありました。こういった「心因性の胸痛」も、このところ増えているのです。ほかにも本来は「胸焼け」であるはずの逆流性食道炎(食道の病気)の方や、さらに、突発的に胸痛を感じて受診した病院で、急性心筋梗塞と誤認された、自然気胸(肺の病気)の方などもいらっしゃいます。

これら以外にも心膜炎、胸膜炎(これらは発熱を伴う)、さらには死に至る大動脈の解離など、胸の痛みの原因になる病気はたくさんあります。

以上のように、体の表面の胸痛や心因性の胸痛もさることながら、痛みが引かない、痛みが強くなる、冷や汗が出る、呼吸がしにくいなどの症状を伴う場合には、素早く内科や専門医を受診したほうがいいでしょう。

狭心症と心筋梗塞の異なる点

胸の痛みの大半は心配ないが、痛む範囲が広い場合、胸の奥が痛むときには心臓病の疑いも

危険な胸痛と問題ない胸痛

胸に痛みを感じたとき、多くの人は「これは、もしかしたら心臓病では」という思いが頭をよぎり、不安な気持ちになります。

胸の痛みは、心臓病以外にもさまざまな原因で起こります。むしろ、胸の痛みの大半は、心配する必要のないものなのです。

ただし、痛む範囲が広い場合や、胸の奥が強く痛むときは要注意。心臓病が原図の胸痛であるおそれが強くなります。反対に、痛む範囲が狭かったり、胸の表面だけが痛んだりする場合は、心臓病の可能性は低くなります。

胸痛を起こす代表的な心臓病である、狭心症と心筋梗塞について見ていきましょう。

狭心症の胸痛は、胸を強く締めつけられる感覚や、焼けつくような痛みとなって現れます。胸だけが痛むとは限らず、肩やあご、左上腕、背中などに痛みが広がることがあります。

こうした痛みは、長くても10分以内で治まります。狭心症は、心筋の血流が一時的に減り、心筋の酸素が不足して起こるもの。そのため、血流が復活すれば症状は治まるのです。

一方、心筋梗塞では、心筋への血流が完全に止まり、心えし臓の細胞が壊死してしまいます。そのため、左前胸部に起こる痛みは激烈で、焼きごてで胸をえぐられたようだと言われます。こうした痛みは突然現れ、30分以上、場合によっては24時間治まらないことさえあります。

心臓病の特効薬として、ニトログリセリン(硫酸薬)をご存じの人も多いと思います。これは、狭心症には劇的に効きますが、心筋梗塞には効果がありません。

狭心症であれば、ニトログリセリンの働きで冠動脈が広がり、血流が復活して酸素が心筋に補給されます。しかし、心筋梗塞の場合は心筋が壊死しているため、血流が復活できないのです。

狭心症の発作を抑える硝酸薬はこちら。

また、心筋梗塞の場合、心筋の細胞が壊死しているため、痛みが長く続きます。ただし、心臓には代償作用といって、心筋の一部が壊死しても、ほかの部分の心筋が代わってその役割を果たす働きがあります。その結果、心臓の働きはある程度回復し、痛みも和らぎます。

とはいえ、壊死した心筋がもとに戻ったり、新しい心筋ができたりするわけではないので、痛みが軽くなっても安心はできません。心筋梗塞の発作が起こっているおそれがあれば、すぐに救急車を呼ぶべきです。

心筋梗塞の治療はこちら

不整脈で最も多いのは脈が飛んだように感じる「期外収縮」で原因は、寝不足や過労

多くの場合、心配いらない

不整脈の中で最も多いのは、一瞬ドクンと強い脈を感じたり、脈が一拍とんだようにに感じたりする「期外収縮」です。

期外収縮は、誰にでも起こる症状で、一般に加齢とともに頻繁に起こるようになります。脈が一瞬止まったような感じがするため、心臓の病気ではないかと不安になる人も多いのですが、多くの場合、特に治療の必要はありません。

ところで、期外収縮はなぜ起こるのでしょうか。

心臓は、強く収縮することで全身に血液を送り出し、次に拡張することで、全身から戻ってきた血液を受け取ります。この、心臓の収縮と拡張のくり返しを「拍動」といいます。

拍動を起こさせるのは、心臓の中にある洞結節という部位です。ここで発生した電気的な刺激が、心臓のさまざまな部位に伝えられることで、周期的な拍動が起こるのです。洞結節は、1分間に60~80回、電気刺激を発生することができます。心臓は、洞結節からの電気判刺激が適切なタイミングで各部に伝えられることで、規則正しい拍動を繰り返しています。

この拍動のリズムを洞調律といいます。健康な成人の心拍数は、1分間に60~100回とされています。日常生活の中で、心拍数が1分間に60~100回になることが多いため、この範囲内を正常洞調律と呼んでいます。

心拍数が正常洞調律の範囲を超えたり、拍動のタイミングが早すぎたりして脈が乱れる状態が、不整脈です。不整脈は、電気刺激が発生する部位や、電気刺激の伝わり方に異変が生じることで起こります。期外収縮は、そうした不整脈の一種なのです。

自律神経の乱れも原因になる

心室だけに収縮が起こるものを「心室性期外収縮」、心房に収縮が起こるものを「心房性期外収縮」と呼んでいます。

心室性期外収縮では、心室に十分な量の血液がたまらないうちに心臓が収縮します。そのため、心臓からは通常よりも少ない量の血液しか押し出されません。いわば空打ちになってしまうのです。この空打ちのときに、脈が止まったと感じることがあります。

また、次の段階で通常よりも多量の血液が心室にたまって、それが心臓から送り出さ飢渇ことがあります。すると動惇がする、脈が飛んだように感じる、胸に違和感を覚えるといった症状が現れます。

心房性期外収縮でも、同じように、動悸や脈が飛ぶなどの症状が現れることがあります。

このほか、のどや胸の不快感、動悸、ごく短いきゅっという症状を感じる人もいます。期外収縮が連続して起こったときには血圧が一時的に下がるため、めまいがしたり、動悸が激しくなったりすることもあります。

期外収縮は、多くの場合病気とは国保なく、加齢や体質が原因で起こります。また、自律神経の乱れも、期外収縮を招く原因になります。

自律神経には、体が活発に動くように働く交感神経と、体を休ませるように働く副交感神経があります。交感神経の働きが高まれば、拍動は速くなりますし、副交感神経の働きが高まれば、反対に拍動は遅くなるのです。

ふだん、この2つの自律神経は、絶妙なバランスを保っています。ところが、過労やストレス・睡眠不足・喫煙・飲酒などが原図で、このバランスが崩れてしまうことがあります。そうなると、拍動にも影響が出て、期外収縮が起こりやすくなってしまうのです。

健康な人で、期外収縮の症状が強くなければ、治療を必要としない場合がほとんどです。日常生活でも、特別な制限をする加必要はありません。ただし、スlトレスや過労、睡眠不足、激しい運動などは、期外収縮を悪化させることがあるので、規則正しい生活を心がけましょう。

心筋症や僧帽弁の異常など、心臓病を抱えている人は、期外収縮から危険な不整脈に移行するおそれもあります。

また、健康な人でも、運動後や飲酒中、安静時などに期外収縮が起こって意識が遠のいたり、動悸がしばらく治まらなかったりする場合は、治療を要することがあります。心当たりのある人は、内科か循環器科で検査を受けたほうがいいでしょう。

不整脈には心配ないものと危険なものとがある

不整脈はいくつかのタイプに分類される

体を激しく動かしたわけでもないのに、心臓の拍動が急に速くなったり遅くなったりすることはありませんか。

安静時に突然、心臓の拍動が不規則になる状態を、不整脈といいます。不整脈の多くは危険なものではないといわれていますが、突然死を招く場合もあるので、注意しなければなりません。

不整脈は、現れ方によっていくつかのタイプに分けられます。そこで、不整脈の種類と症状、危険な不整脈と心配のない不整脈の見分け方についてです。

健康な人の安静時の脈拍数は、毎分50~80回。成人では平均60~70回程度です。脈拍が毎分50回よりも遅い場合を「徐脈」、100回よりも速い(多い)場合を頻脈、 規則正しい拍動の間にタイミングがずれて早く拍動が出現する場合を「期外収縮」といいます。

通常の徐脈性不整脈は、程度が軽ければ症状はありません。ただ、走ったり階段を昇ったりしたときに、息切れやだるさを感じることがあります。脈と脈の問が長くなると、めまいや失神を起こすこともあります。

徐脈性不整脈の代表的なものは、房室ブロックです。軽度(Ⅰ度ブロック) の場合、命にかかわることはありませんが、失神して転倒するとケガをします。重度(Ⅱ度、Ⅲ度) の場合は意識消失が起こり、突然死を招くこともあるので要注意です。

脈を調べる習慣が大事

頻脈性不整脈の症状としてよく現れるのは、動悸です。心臓が拍動したときに胸苦しさを感じたり、失神したりすることもあります。

頻脈性不整脈には、要注意のタイプが多くあります。特に、心室頻拍から心室細動に移行した場合は、突然死を引き起こすことがあります。

期外収縮には、心房性と心室性の2とおりがあります。脈が飛んだように感じられることがありますが、多くの場合、心配はありません。しかし、中には重篤な不整脈へと進展する危険なものもあるので、油断は禁物です。

不整脈のやっかいなところは、事前に発見するのが難しいこと。大多数は無症状で、気づかないうちに不整脈が起こっている場合がはとんどです。

そこで、少しでも心臓病の不安がある人や、中高年の人は、自分の脈拍を射調べる習慣をつけることをおすすめします。定期的に脈を調べていれば、脈の異常がいち早く発見できるからです。

脈の調べ方のうち、最も簡単なのは手首で調べる方法です。片方の手首の手のひら側・親指側に、もう一方の手の人さし指・中指・薬指の指先を血管に沿って当てます。脈を感じたら10秒間計測し、その数を6倍にすれば、1分問の脈拍数がわかります。

噸脈性不整脈

心室細胞

心室の筋肉がバラバラに収縮して、心臓停止と同じ状態になる不整脈。症状は、意識消失、心停止。死に至ることが多い。原因は、心筋梗塞や心不全などの心臓病、感電や薬物中毒。

心室性期外収縮

拍動と拍動の間に、予定より早く心室で電気的興奮が発生することで起こる不整脈。心室細動に移行するものもあるので、注意が必要。原因は、過労、運動、ストレスなど。心筋梗塞、心不全で起こる場合は危険。症状は、無症状のことも多いが、動悸、脈の抜け、胸の不快感などがある。

心室頻拍

心室性期外収縮が早い速度で3回以上連続して起こる不整脈。拍動は1 分間で200回以上に達する。持続性のものや、心室頻拍から心室細動に移行したものは突然死を起こすことがある。原因は、心筋梗塞、心不全など。原因不明で起こるものもある。症状は、動悸、血圧低下、ふらつき、意識障害など。

心房粗動

心房が細かく拍動して起こる不整脈。心房の収縮は1 分間に約300回に達する。心房本来の役目を果たせず、よどんだ血液が血管につまり、脳卒中の危険がある。症状は、無症状のこともある。症状がある場合は動惇などが起こる。原因は、心臓病、薬の副作用など。

心房細動

心房の中で、電気的興奮が無数に無秩序に起こり、心房が収縮しなくなる不整脈。心房の興奮回数は1 分間に600回以上。心室へは不規則に興奮が伝わり、頻脈を起こす。脳梗塞の危険がある。症状は、動悸、狭心症のものに似た胸痛など。心不全を起こすこともある。原因は、心筋梗塞、心不全、僧帽弁膜症、甲状腺機能冗進症、洒の飲みすぎなど。

徐脈性不整脈

房室ブロック

心房から心室への刺激伝導の途中で電気信号が障害を受ける不整脈。心不全や突然死を招くものもあるが、心配のいらないケ-スが多い。症状は、軽い房室ブロツクは無症状。重いと意識消失や息苦しさなど。原因は、心筋梗塞、心筋炎など。

心臓病は再発したり、持病になる人もいるが、生活習慣の改善で予防も改善も可能

再発予防には体質改善が必須

心筋梗塞などの心臓病は、できるだけ早く治療を開始する必要があります。特に、動脈硬化が進行して「冠(状)動脈」の一部が完全につまってしまう「急性心筋梗塞」では、激しい胸痛などの発作が続き、極めて危険な状態。一刻も早い病院での治療が必要です。

一方、注意したいのは、心筋梗塞が起こっていても胸痛などを感じない人もいるということ。これを「無痛性心筋梗塞」といい、脳梗塞や糖尿病といった持病のある人や高齢者など、痛覚に問題を生じている人に多く起こります。こうした人は異常に気づきにくいので、定期的な心臓の検査が必要です。

病院での心筋梗塞の治療は、心肺蘇生法、電気ショックなどで、救命のための処置や壊死を最小限に抑える治療が行われます。また集中治療室で、血栓を溶解する治療、バルーンやカテーテルなどによる血管の内腔を広げる治療なども行われます。そして、急性期を乗り切ると、心臓のリハビリによって社会復帰を図っていきます。

心筋梗塞を発症して適切な治療を受けると、たいてい1ヶ月ほどで症状が落ち着いてきます。脳の血管がつまる脳梗塞ではマヒや言語障害、認知症などの後遺症が出ることが多いのですが、心筋梗塞ではそういうことがほとんどないため、ふつうの生活にも比較的すんなり復帰できます。

しかし、症状が安定しているとはいえ、決して安心というわけではありません。壊死した心筋の一部は元に戻らないし、心臓も元のようには働けません。何よりも心筋梗塞の原因となった動脈硬化が進みやすく、血栓もできやすい体質は変わっていないからです。そうした体質を改善しなければ、再発する可能性が高く、当然、死亡へとつながる危険性も減りません。

食習慣の改善や運動・禁煙が肝心

心筋梗塞の再発を防ぐためには、狭心症の治療と動脈硬化の進行を防ぐための基礎疾患(高血圧や糖尿病などの病気) の薬物治療(降圧薬・血管拡張薬・抗血小板薬などの投薬)が行われます。

さらに、日常生活面での注意も必要です。

心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患は、生活習慣と大きくかかわっている病気です。事実、虚血性心疾患の患者さんの多くは、高血圧や糖尿病・脂質異常症(血液中の脂質が異常に増えた病気)といった生活習慣病を持っています。そのため、動脈硬化が進行し、心筋梗塞などを起こしてしまうのです。

そこで、虚血性心疾患の発症予防(一次予防)にも再発予防(二次予防)にも大切なのは、動脈硬化の進行を防ぐための生活習慣の改善。その主なポイントは、「食生活の改善」「運動する習慣をつける」「禁煙」の3つです。具体的に説明しましょう。

食生活の改善

食事は「減塩、低コレステロール、栄養のバランスよく」が基本です。塩分のとりすぎは血圧を上げ、心臓に負担をかけるので控えめに(高血圧の人は1日グラム未満)。肉やバターなどの動物性脂肪のとりすぎも、血中の悪玉(LD L)コレステロールを増やすので、やめましょう。

一方、青魚(サバ、イワシ、サンマなど) に含まれるDHA などの脂肪は、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用があるので積極的に食べるようにしてください。
血栓の予防にEPA・DHA

運動習慣

適度な運動は、血中の善玉コレステロールを増やし、肥満や高血圧・高血糖を改善することがわかっています。冠動脈の動脈硬化の改善にもつながります。しかし、激しすぎる運度は心臓の負担になるので、ウォーキングなどがいいでしょう。

禁煙

喫煙は、血管を収縮させ、1本吸うだけでも血圧を20mmHG以上も上昇させます。さらに血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増やして血栓をできやすくしたり、血管をつまりやすくしたりするのです。厚生労働省の調査によると、喫煙者が心筋梗塞などの心臓病で死亡する危険度は、非喫煙者の2倍以上にもなることがわかっています。

一方、禁煙すると、心臓病のリスクは格段に下がります。そのほかにも、生活上で心がけたいのは「お酒を飲みすぎない」「太りすぎない」「ストレスをためない」「十分な睡眠をとる」などです。治療を受け、よくなったと思っても、ぜひ、以上のような点に注意して生活しましょう。禁煙はこちら