ストレスは、心臓病と深く関連する
ストレスが高まると、交感神経が刺激されて、副腎皮質ホルモンの分泌がさかんになり、カテコラミン系のストレスホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン)の分泌が増加します。
。カテコラミンは心臓に対しては、心拍数を増やし収縮力を増加させます。血管に対しては収縮を促します。
その結果、ストレスによる交感神経への刺激やカテコラミンの増加は、血圧を高めることなります。ストレスは、コレステロールの合成を促進し、血糖を上げる作用もあります。緊張やイライラなどの精神的ストレスは、喫煙、過食、酒の飲み過ぎなど、生活習慣病のもととなるライフスタイルの悪化にもつながります。
自分を追い込むA型性格は要注意
米国では、一定の行動パターンや性格を、A型、B型の2つ分けて虚血性心臓病との関係を調べた研究があります(A型、B型といっても血液型とは関係ありません)。
それによると、タイプAの人は、B型の人に比べて虚血性心臓病にかかる割合が2倍も高いとの報告があります。A型の典型的なパターンは、向上心や責任感が強く自己を駆り立てます。時間に追われ、ストレス状態になつていることが多いのです。欧米では野心や競争心が強い人に多いのですが、日本人では仕事熱心で物事に対して性急、怒りがあっても表面に出さないタイプに、A型が多くみられます。A型の気質の中で、虚血性心臓痛のリスクに直結するのは「怒り」といわれています。
いかに怒りを少なくするかが、だいじなポイントとなります。
生来の性格や長年かけて培った行動パターンを変えることは非常に困難ですが、A型の傾向がある人は、意識して気分をゆったりと持ち、過労を避けることが必要です。
ある程度は「仕方ない」という考え方も大切です。
疲れていると自覚しなくても、自分のための時間を作り、睡眠と休養そして気分転換になる楽しみを持ちましょう。また、心臓リハビリテーション、とくにグループで参加する集団心臓リハビリテーションは、行動パターンを変えていくうえで効果的と考えられています。
気分転換できる時間を積極的にとる
現代社会では、ストレスをゼロにすることは不可能です。ストレスを受けても、それに対抗できる体力づくりと、ストレスをため込まない工夫が必要です。
心とからだをリラックスさせる方法としては、自律訓練法がありますが、これは一定の訓練が必要です。簡単にできるのは腹式呼吸です。鼻から大きく息を吸い、おなかからゆっくり息を吐き出す練習をし、仕事や家事の合間、あるいは休憩時に実践すると、気持ちが落ち着いてきます。意識的に行うことがストレス解消になりますので積極的に行うといいでしょう。
レクリエーションやスポーツは、体力を養い、気分を爽快にするなど、さまざまな効果があります。座禅やヨーガ、太極拳などもリラックス効果があるといわれています。これまで忙しくてできなかった趣味に、思い切って挑戦するのもいいことです。茶道や書道、華道などは、日本人の性格に合い、気持ちを安定させる効果もあります。こういった趣味もおすすめです。