危険因子が複数重ならないように注意

虚血性心臓病は生活習慣病

狭心症や心筋梗塞の危険因子としては、表のような項目が挙げられています。年齢、性、家族歴は対策の立てようがありませんが、その他の項目は、生活の中である程度防げるものです。このため、虚血性心臓病は生活習慣病の1つとされています。生活習慣を改善することは、虚血性心臓病を未然に防ぐうえで大切なことですが、すでに心臓病を発症した人の再発予防のためにも非常に重要です。
肥満や高脂血症など表に挙げられた危険因子の誘因として、運動不足は最も重要です。

インスリン抵抗性

最近は、動脈硬化性の心臓病を発症させる因子をあわせ持つ病態を、「シンドロームX」と呼んでいます。危険因子のひとつひとつが、それほど強くなくても、いくつもの因子が重なると、狭心症や心筋梗塞が発症しやすくなります。「シンドロームX」の病態としては、運動不足により糖の代謝にかかわるインスリンというホルモンに対する、細胞の反応(感受性) が悪くなります。これをインスリン抵抗性といいます。インスリンは、反応が悪くなった分を補うため多量に分泌されます。これを高インスリン血症といいます。

合併症が重なり危険度が高まる

この高インスリン血症は高血圧、肥満、高脂血たいとうのう症の引き金となり、さらに進めば耐糖能異常・糖尿病を発症します。肥満、高脂血症、耐糖能異常、高血圧を併せ持つと、きわめて予後が悪くなるため、「死の四重奏」といって恐れられています。

喫煙はさらに危険度アップ

また、最近の日本での調査では、喫煙の悪影響が大きいことが再確認されました。たばこを吸うだけで心筋梗塞の発症率は、吸わない人の1~2倍にもなります。さらに糖尿病と高血圧があると、10倍以上にはね上がることが確認されました。

生活改善が重要

ところで、死の四重奏をかなでる肥満、高脂血症、耐糖能異常、高血圧を引き起こす誘因は何かといえば、その多くはふだんの生活習慣そのものです。
日本では、2001年に、はじめて日本人向けの「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン」が発表されました。
一次予防とは、まだ発症していない病気を予防することを意味しますが、それはそのまま発症後の日常生活の注意にあてはまります。ガイドラインのなかで、喫煙、運動、栄養、そして生活習慣が大きく影響する体重、ストレス対策については、目頭で目標が掲げられています。たばこはやめ、そばにいる人に影響をおよぼさないように、としています。
運動は中等度の運動を1回30分以上、週3~4回、できれば毎日行うのが望ましいとしています。
心臓痛病の人は主治医と相談し、このペースを目標にして、生活の中に取り入れるのがよいでしょう。
体重はBMI値25未満が目標となつていますが、無理なく少しずつ減量し、BMI値22に近づけたいものです。食事療法だけでは筋肉が衰えがちになるため、運動を併用することが重要です。