心臓のために「いい運動」「よくない運動」

高血圧、高脂血症にも運動は欠かせない

もともと、運動不足は生活習慣病はもとより、動脈硬化や虚血性心臓病の大きな原因の1つです。生活習慣病や心臓病の予防と治療に欠かすことができせん。
適切な運動を続けることにより、生活習慣が関係している2型糖尿病や肥満などで、低下しているインスリンというホルモンの感受性を改善します。
高血圧の人では、軽い運動をすることで、血管を収縮させて血圧を上げるホルモンが減少します。そして血管を拡張させる物質が増えて、血圧が安定していきます。運動開始後2~4週で血圧が下がってくることが認められています。
高脂血症では、とくにふつうの生活で増えにくい善玉のHDLコレステロールが増え、悪玉のLDLコレステロールが下がります。運動を続けていてコレステロールが低下した人の血管造影を行うと、動脈硬化がよくなっている例が認められています。

また、「高コレステロールになる重要な6つの原因」なども重要です。

運動は、心筋梗塞などの発症に関係の深い精神的なストレスの解消にも有効です。実際、気分転換が必要なときには、じつとしていないで、からだを動かすことが有効なことは多くの人が経験していることでしょう。

運動厳禁の人もいるので注意

いくら運動がよいといっても、誰もがやってよいというものではありません。重要なことは、運動負荷試験などの検査を受け、主治医に運動してよいかどうかを相談することです。もし、運動が可能なら「運動処方」を出してもらい、それに従って運動を行います。

疲れがたまらずに続けられる有酸素運動がおすすめ

運動の種類として効果的なのは、なるべく多くの筋肉群を使った律動運動(ダイナミック・エクササイズ) です。これを有酸素運動(本当の意味のエアロビック・エクササイズ) のレベルで行うことが大切です。
ウォーキングはその代表ですが、いわゆる軽いエアロビクスやダンス、サイクリングなどもよい運動です。有酸素運動とは持久性運動ともいい、疲労物質の乳酸が溜まらずに、いつまでも疲れることなく続けられるレベルの運動をいいます。
運動種目によって決まるのではなく、運動の強さが大切です。たとえば、ウオーキングでも、歩く速度が速過ぎれば無酸素運動になってしまいます。有酸素運動は最大運動能力のおよそ半分の運動の強さが目安です。
このレベルの運動は、疲労せずに続けられることが特徴です。30分運動して、息切れしてしまうようでは、それは有酸素運動とはいえません。有酸素運動の上限は嫌気性代謝閾値(AT)と呼ばれ、心肺運動負荷試験でわかります。一般に有酸素運動といわれるものでも、運動法しだいで心臓によくない例は次のとおりです。

  • ジョキング
  • ふだんからトレーニングをしている人は別として、ほとんどの人にとって有酸素運動とはいえません。

  • 散歩
  • 犬を連れて歩くと、自分のペースを守れず、無酸素運動となってしまうことがあります。

  • ゴルフ
  • ハイキングと並んで、最も心臓の事故が多いスポーツです。ゴルフをする人たちが、ちょうど心臓病を起こしやすい集団であることが主な原因ですが、ほかにも原因があります。パートナーに対する気遣い、ショットのときの緊張感、天候やコースのアップダウン、さらにちょっと気分が悪くても途中でやめにくいことなども原因と考えられます。

  • 水泳
  • 健康な人にとっては、とてもよい運動ですが、心臓病の人では注意すべきポイントが3つ
    あります。ひとつめは、心臓より水面が上になると、心不全傾向のある人では、肺動脈庄が上がって心臓の負担が増えます。
    ふたつめは、水温も問題です。水温を高めに設定した温水プールならば問題は少ないのですが、水温が低いと自律神経のバランスが崩れ、不整脈や血圧上昇が起こることが知られています。
    3つ目は、水泳ではよほど上級レベルの人以外は、運動の強さをコントロールしにくいことです。ウォーキングで速度を遅くすることは簡単ですが、水泳では溺れてしまうため、あまり運動の強さを低くすることができません。
    水泳は、室温や水温が管理された条件のよいプールで、何時間でも泳いでいられるスピードで泳げれば問題ありません。ただし、主治医の意見を開いてから行うのが安心です。

    筋力トレーニングは専門家の指導が必須

    筋肉に多少負荷のかかる運動は、筋力をつけ健康を維持増進するうえで重要で、心臓病の人でも可能とされています。スポーツジムなどでマシンを使い、自分に合った強度の筋力トレー: ングをするのがよいでしょう。必ず医学的チェックを受け、心臓リハビリテーション指導士や心臓病の知識がある理学療法士などの指導が必須です。

    準備運動、整理運動も大切

    運動をする前後には、ストレッチや軽い柔軟体操などで、ウォームアップとクールダウンを行います。ウォーキングは、ゆっくりからはじめ、だんだん速度を速め、終わるときも少しずつ速度を落とします。運動中は呼吸の速度と深さが増しますが、それが不快な程度になってはいけません。ふつうの会話に努力を要したり、ペースを落とすか休んでも回復に5分以上を要する、という状態にならないことが大切です。