Monthly Archives: 12月 2012

ペースメーカー、除細動器装着の際の注意点

ほとんど普通の生活が可能

ペースメーカや植え込み型除細動器が体内に入っていると、日常生活を制限する必要があると考えがちです。しかし、これらの器械は、日常生活をできるだけふつうに過ごすことを目的に装着するのですから、必要以上の制限はかえってよくありません。
器械は丈夫にできていますから、ふつうの生活で壊れることはありません。病状によって運動や仕事を制限されることはありますが、ペースメーカーを装着しているからではありません。
器械をつけたことで仕事、通勤、家事、旅行、性生活が制限されることはありません。ゴルフやジョギング、水泳、テニス、ソフトボール、卓球、ダンスなどはふつうに楽しむことができます。
ただし、柔道や相撲、サッカー、ラグビーなど、からだをぶつけ合うスポーツは禁止です。

電磁波・電気は注意

問題になるのは、電磁波と強い電気です。電磁波や強い電気を受けると、電磁波干渉といって、ペースメーカや除細動器が誤作動を起こしたり、リセットされてしまう可能性があります。
その場から離れると元に戻ることが多いのですが、ときにリセットされたのに気づかなかったり、めまいやふらつき、動悸などを感じる場合があります。また長時間、電磁波の強い影響から脱出できないと、失神、意識障害などが起こる危険性もあります。とくに避けたほうがよいもの、注意したほうがよいものは、以下の通りです。
携帯電話は22cm離れれば安全とされています。埋め込んである場所と反対側の耳に当てればより安心です。
それよりも電源を入れたまま、胸のポケットに入れるのは止めたほうがよいでしょう。最近はペースメーカに対応した機種も出てきています。
PHSは、及ぶ影響が最小限に設計されていますから、こうした機種を使う方法もあります。図書館や店に設置されている盗難防止装置や空港の金属探知器は、すっと通り抜ける程度なら影響はないようです。
ただ、店などでそれと知らず長時間寄りかかったりすると、影響を受けることがあるようです。店によっては万引き防止監視システムを、カモフラージュして設置している場合もあります。出人口などにはできるだけ立ち止まらないようにします。
空港などで携帯型の金属探知器でチェックを受ける必要があるときは、担当者に植え込み型の電子医療器を使っていることを伝え、金属探知器が器械に近づく時間をできるだけ短くしてもらうのがよいでしょう。

避けたほうがよいもの(電磁波、強い電気)

  • 高圧線、テレビやラジオの送信塔の下
  • 変電所、電気溶接機への接近
  • エンジンをかけた自動車のボンネットの中
  • 肩やひざ、腰に使う超短波・低周波治療器
  • MRI(磁気共鳴診断)検査、電気メス手術
  • ハリ治療での電気針
  • 電気風呂、磁気マット、全自動マージャン卓

注意したほうがよいもの

  • 電源の入つた携帯電話、トランシーバー
  • 磁石、磁気ネックレス( 本体に当てない)
  • ゲート式盗難防止装置、金属探知器

ペースメーカーについてはこちら

不整脈によるペースメーカ、焼灼法など

不整脈の対処

不整脈の非薬物療法には、ペースメーカ、電気的除細動、カテーテルアプレーションなどがあります。
ペースメーカは小型・軽量化が進み、患者さんの心臓の状態や生活に合わせて、選択の幅が広がっています。電気的除細動は、病院で行う大型のもの以外に、小型で、使用法も簡便な体外式の機器や、ペースメーカのように体内に埋め込む機器が実用化されています。これらの器械の普及で、致命的な不整脈からの救命ができるようになりました。

徐脈性不整脈を防ぐ

心臓に人工的な電気刺激を送って、正常なリズムで心臓を拍動させる治療法を「ペーシング」といいます。
一般的にペースメーカという場合には、小型の器械を体内に埋め込む「恒久ペーシング」をさします。ペーシングには、ほかに一時的ペーシングといって、心筋梗塞などの発作で脈拍が異常に遅くなったときに体外から電気刺激を送る場合があります。
これは通常、病院で行います。埋め込み式のペースメーカは、徐脆性不整脈の人が対象です。、房室ブロック が原因の場合が多く、一分間の心拍数が40回以下、あるいは3秒以上の長い心停止が現れる場合に使います。

埋め込み手術

ペースメーカは、電池やマイコンチップなどの本体部分と、心臓内に電気刺激を送るリード線から成っています。埋め込み手術の所要時間は約1~2時間程度、入院期間は患者さんの状態によって異なりますが、3~7日程度です。局所麻酔をして、左右どちらかの鎖骨の下を3~4センチ程度切開し、皮下にべースメーカを埋め込みます。リード線は静脈を通じて、右心房や右心室に差し込みます。電極を設置する場所は患者さんによって異なります。手術後しばらくは違和感がありますが、しだいに慣れていきます。

ペースメーカは電池で作動しています。最近は、10年あるいは、20年もつ電池も出てきましたが、電池交換の時期は器械の種類や患者さんの状態によって異なります。交換時には手術が必要です。器械ですからトラブルが起こることも想定し、6か月ごとに定期的な点検も受けなければなりません。

電気的除細動で頻脈に対応

病院で行う電気的除細動には次の2があります。

  • 電気ショックで救命
  • 心房細動を取り除く

電気ショックは、心筋梗塞の発作などで心室頻拍や心室細動が起こつたときには、緊急処置として電気的除高エネルギーの電流を瞬間的に心臓に通電し、電気ショックで正常なリズムを取り戻す方法です。
このときに使う器械は体外式除細動器といい、患者さんにかなり大きなショックを与えますが、実施するときはほとんど意識がないため、麻酔なしで行います。
心房細動を取り除くのは、電気的除細動は心房細動でも行うことがあります。心房細動によって、心臓内の血流がよどみ血栓ができこうそくると、脳梗塞などを引き起こすことがあります。
心房細動は薬による治療法もありますが、正常の脈を取り戻す効果は、電気的除細動のほうが優れています。除細動が実施できるのは、まだ血栓ができてない患者さんに限られます。そのため、ごく最近はじまった心房細動の場合以外は、ワーファリンで十分に抗凝固療法を行ってから除細動を行います。
また、軽食道超音波検査によって心臓内部に血栓がないことを確かめたうえで実施することになります。

実施できる場合は、短時間型の静脈麻酔をして電気ショックを加えます。しかし、電気的除細動でも薬物による除細動でも、また自然に直った場合でも、ときに脳梗塞を起こします可能性もあります。1~2日は入院して経過を見る必要があります。

体外式半自動除細動器は病院以外でも使える

心臓発作に伴う心室頻拍、心室細動は、一刻を争う状態です。電気的除細動は発作後2~3分以内に行う必要があります。最近出てきた体外式半自動除細動器(AED)は、器械が心電図を自動的に解析して電争ソヨツクが必要かどうかを判定します。
心室細動を感知すると、ボタンを押す指示が出て、ボタンを押せば、電流が流れるしくみです。海外では航空機内や公共施設などで使われています。
日本でも救急車内に設置し、医師の指示により救急救命士がスイッチを押すことが検討されています。

カテーテルアプレーション

心臓の興奮が伝導路をグルグル回ってしまう不整脈に対して、カテーテルの先から高周波を出して、原因となっている回路の部分を焼き切る治療法です。
発作性上室性頻拍のほか、心室頻拍、心房租動、心房柵動などでも行われるようになりました。
また、WPW症候群といって正規の伝導路以外に副伝導路があり、発作性上室性頻拍を起こしやすい人に対しては、決め手になる治療となっています。
手術に際しては、足のつけ根の大腿静脈や大腿動脈、鎖骨の下の静脈などから電極のついたカテーテルを何本か心臓内に留置して電気生理学的検査を行います。
これにより不整脈の原因となる異常部分(副伝導路) が見つかったら、その部分にカテーテルの先端を押しつけ、体表面につけた対極板の間に高周波を流して、原因部分の心筋を焼き切ります。
焼き切る温度は摂氏60度くらいで痛みはなく、胸がやや熱くなる程度です。所要時間は3~4四時間程度で、翌日から歩けます。入院期間は3~5日程度です。合併症や再発は、ごくまれに起こることがありますが、治療技術が向上し、最近の成功率は心房細動では70% 程度、それ以外では90% を超えています。原因を取り除く治療ですから、治療後は薬がいらなくなります。日常生活の制限もいりません。不整脈以外の心臓病などがある場合は、その治療を続けることになります。

応急処置による治療

心筋梗塞の発作時、急性心不全の応急処置

心筋梗塞の発作を起こすと、心筋への血流が途絶え、心機能が低下する急性心不全を起こすことがあります。以前は発作が起こると、それに合併して起こるショックや心不全、心破裂などといった重度の合併症に対する治療法がなく、間接的な方法での対処しかすることができませんでした。
最近は血管に働きかけるさまざまな方法が開発され、救急処置の段階で命を落とさずに持ちこたえられる例が増えています。その代表が、VCT、IABP、PCPSなどの治療法です。

IVCT(冠血栓溶解法))

心筋梗塞の発作が起こつたときには、12時間以内、場合によっては24時間以内であればPTCA、あるいは血栓溶解療法が行われます。血栓溶解療法は、これまでカテーテルがすぐにできる施設では、緊急的に冠動脈造影検査を行い、血管が詰まった場所を突き止めて直接冠動脈内に血栓溶解薬を注入するICTが行われてきました。
最近では、静脈注射でも同程度の効果があることがわかりました。このため、カテーテルができないところでも、すみやかに実施できる静脈内投与法(VCT) が主体となつてきています。
血栓溶解には、T-paやウロキナーゼなどの薬を使います。早く行うほど有効といわれています。ただし、これらの薬剤は強力に凝固を抑制するため、出血がある場合などには止まらなくなり、大事に至ることがあります。とくに高齢者は注意が必要で、消化管出血、脳出血や脳梗塞、生理出血以外の内出血、大動脈解離の疑いなどがある場合には施行できません。

IABP(大動脈内バルーンポンプ)

心筋梗塞の発作や急性心不全でショック状態にあるときには、IABP(大動脈内バルーンポンプ) という装置を使うことがあります。これは心臓のポンプ機能を一時的に助ける補助循環装置です。
脚のつけ根の動脈から長いバルーンをつけたカテーテルを下大動脈に挿入します。駆動装置は体外にあり、ここから炭酸ガスを送ってバルーンをふくらませます。
心電図、大動脈庄をモニターし、心拍動に合わせて拡張と収縮を繰り返させます。動脈内のバルーンは、心臓から血液が送り出されるときはしぽんでいます。
心臓の収縮が終わり、大動脈弁が閉じる瞬間に、バルーンがふくらんで下半身に流れる血液を阻止します。こうして、心臓が拡張しているときには、冠動脈や脳動脈への血流を優先的に確保し、収縮しているときには抵抗を減らして、心筋組織が壊死するのを防ぐことになります。

PCPS((経皮的心肺補助装)

心臓に戻る血液をポンプで体外に取り出し、人工肺を通して酸素を多く含んだ血液として、下肢の動脈に戻します。こうすることで、心臓と肺の働きを補助します。

冠動脈バイパス術は血流の迂回路を作る

カテーテル治療が困難な場合に行われる

狭心症や心筋梗塞で、カテーテルによる治療が困難または不可能な場合には、冠動脈バイパス術を行います。
冠動脈の狭い部分は血液の流れが悪く、たとえていえば市街地の交通渋滞の状態です。渋滞緩和のために作られるのが、市街地を迂回するバイパス道路です。冠動脈バイパス術は、いわば冠動脈のバイパス道路建設工事のようなものです。冠動脈の狭い部分、あるいは詰まってしまった部分には手をつけず、からだのほかの部分の血管を使ってバイパス道路を作ります。手術を行うかどうかの判断は患者さんの病状、年齢、社会的状況、合併症やほかの病気の有無などを考え合わせて、総合的に判断します。
だいたい次のような状態の場合に、手術を考慮します。

  • 左冠動脈の根本(主幹部) に狭窄がある
  • 狭窄率が75%を超える病変が複数の枝にある
  • 経皮的冠動脈形成術ができない、または何回行っても、再狭窄を繰り返す

下肢の静脈などを使ってバイパスを作る

バイパス用に使う血管はグラフトといいます。胸骨の裏を走る左右内胸動脈、胃のそばにあと、つる右胃大綱動脈、左右前腕の橈骨動脈などがよく使われます。大伏在静脈を使うこともあります。これらの血管を採取しても、とくに悪い影響を残すことはありません。しかし、グラフトとしての耐久性には差があります。日本では、10年で内胸動脈が10% 、大伏在静脈が30%程度、閉塞する確率があると報告されています。
手術後も主治医と相談し、バイパスが閉塞しないよう気をつけなければなりません。手術は、グラフトの採取と同時に開胸して行われます。心臓を停止させ、そのかわりに人工心肺を使う方法と、人工心肺を使わない方法があります。

冠動脈造影検査で手術方法を考慮する

手術を行う前には、負荷心電図、心エコー、心筋シンチグラム(RIシンチ)、冠動脈造影検査などを行い、心臓の状態を総合的に把握します。
なかでも欠かせないのが、冠冠動脈造影検査は、通常、術前3か月以内に行ったデータが有効とされています。しかし、必要な場合には、手術直前に再度、検査を行うこともあります。
手術後は、2~4日間ほど集中治療室(ICU) で過ごしてから一般病室に移ります。一般的に術後1週間ごろから心電図などで状態を監視しながら、エルゴメータなどによる運動療法を開始します。
バイパス術後の運動療法で、グラフトの閉塞率が10分の1になつたとの報告もあります。

虚血性心臓病のカテーテル治療とは

外科的手術ではないカテーテル治療という選択

狭心症や心筋梗塞の患者さんで、動脈硬化により血管が狭くなっていたり詰まっている場合には、狭窄部分を広げる治療、あるいは狭窄部分を迂回するバイパスを作る手術が行われます。
ここでは、カテーテルという細い管を使って行う経皮的冠動脈形成術(PTCA)についてです。
心臓病の治療でカテーテルが利用されるようになったのは、1970年代に開発されたパルーン(風船)による冠動脈血行再建法がはじまりです。
それまで、詰まってしまった、あるいは詰まりかかった冠動脈の血行を回復するためには、バイパス手術しか方法がありませんでした。バイパス手術は開胸術を必要とする大手術です。からだへの負担をできるだけ少なくして血行を再建する、そのために開発されたのがバルーン療法です。

バルーンで広げたり病巣を削る方法も

カテーテルによる治療は、このバルーン療法からはじまり、最近は、狭窄部を広げた状態を保つステント(STENT)、狭窄部を削り取るDCA、動脈硬化巣を粉砕するロタブレ一夕(ROTA)などが行われています。
このようにカテーテルを用いて行う治療全般は、カテーテルインターベンションと稔称されています。カテーテルによる治療では、どの場合も冠動脈造影検査と同じょうに、カテーテルという細い管を、太もものつけ根、あるいはひじなどの動脈に挿入し、直接冠動脈の入り口まで通すことでスタートします。
どこから挿入するかは、病院によって異なります。術後、患者さんの生活への支障を最小限に留めるため、右手が利き手の場合は、左手のひじや手首などから挿入することもあります。これは患者さんの状態にもよりますし、医師が慣れていてやりやすい方法、ということで選択する場合もあります。また、患者さんの血管の状態にも大きく影響します。

先端に風船を装着し拡張する

カテーテルの中には、さらに細い針金が入っています。カテーテルが狭窄部に到達したら、この針金を狭窄部に通します。狭窄部が完全に詰まっているときは、そこをこじあけて先まで送り込みます。
カテーテルには拡張作業を行う道具が装着されています。針金をガイドにして、こうした道具を狭窄部まで持っていき、拡張の作業を行います。ここまでの作業は、すべてのカテーテル治療に共通しています。狭窄部に到達してから、狭窄部を押し広げるのがバルーン、押し広げた部分を維持するために貼りつけられるのがステント、動脈硬化巣を削り取るのがDCA、動脈硬化巣を粉砕するのがロタブレ一夕です。ほかにレーザー、TECなどの方法がありますが、これは、あまり一般的ではありません。

局所麻酔で行い回復も数日

治療は局所麻酔で行うのが一般的です。個々の患者さんの状態によっては全身麻酔を行うこともあります。
全体の所要時間は数数十分から1~2時問で、病気の状態によってさまざまです。痛みを感じるのは、最初の局所麻酔とカテーテルの外筒を血管に入れるとき、それに拡張作業を行っている問は冠動脈の血流が止まりますから、数10秒程度痛みを感じます。術後の安静時間は病院によってさまざまです。
標準的に足のつけ根から行い、圧迫止血する方法では、8~24時間の安静を必要とします。

バルーンで細くなった血管を広げる

以前はPTCAというとバルーンによる治療をいいましたが、ステントが全盛の現在で心、POBAと呼ぶこともあります。
バルーンでの拡張作業はモニターを見ながら行います。一度の作業で十分に拡張しないときには、何度か拡張作業を繰り返し、血流が回復したら、バルーンをしぼませてカテーテルといっしょに引き抜きます。バルーン療法は、患者さんへの負担が少ない画期的な治療法ですが、2つの大きな問題があります。

敷数か月で再狭窄の可能性

バルーン療法では、血管を広げる際に、その内側に傷をつけることが避けられません。血管には傷を修復しょうとする機転が働きますが、その作業が必要以上に働くと、傷あとが盛り上がって再狭窄という事態が起こることがあります。人間の体がもつ本来の防衛機能でもあります。
せっかく広がった冠動脈が術前と同じ、ときには術前よりひどい狭窄を起こすことがあります。再狭窄は、バルーン療法後、3~4割くらいに起こるとされています。再狭窄が起こるメカニズムははつきりとはわかっていません。バルーンなどによって引き伸ばされるためだと考えられています。

広げた部分を支えるステント

ステントとは、金属製の小さな網状をした筒です。バルーンといっしょに血管に入れて、バルーンによって広げた血管の壁に貼りつけ、壁を支えます。
ステント法は、バルーン療法による急性冠閉塞を防ぐ手投として開発されました。術後に起こる再狭窄も、バルーンより少なく20%前後といわれています。
ステント特有の合併症として、以前は術後2週間くらいの問にステントを入れた場所に血栓が付着して、血管が閉塞してしまう亜急性血栓性閉塞というものがありました。現在、これは薬の工夫によって、ほとんど起こらなくなっています。

運用できないケースも

ステント法も残念ながら、万能の治療法とはいえません。これによって、すべての再狭窄が予防できるかといえば、そういうわけではありません。バルーンのほうがよい結果を期待できる病変もあります。ステントが入ったために、かえってややこしい形の再狭窄が起こつたり、ほかの血管をつぶしてしまうこともないことではありません。
ステント法を行うかどうかの判断は非常にむずかしいのですが、狭窄部分の状態や患者さんの年齢、仕事などの条件も加味して検討することになります。

DCAは狭窄部分を削る

DCAは、アテレクトミー療法ともいいます。バルーンやステントが動脈硬化巣を押しっぶすのに対して、DCAでは、狭窄部の粥腫を削り取ります。削り取られた粥腹は器具の先端部にためられて、体外に取り出されます。

利点は異物を残さない

DCA は、ステントのように体内に異物を残さないという利点があります。DCAで十分に粥腫を切除すると、再狭窄はステントと同様に少ないことが証明されています。左前下行枝や左回旋枝の入り口のような重要な場所の狭窄は、DCAで広げるのがよいのではないかと考えられます。
ただし、DCAでは正常な部分を削ってしまったり、冠動脈に穴を開けてしまうという極めて重大な合併症を引き起こす危険性がないわけではありません。熟練した技術が必要なため、実施している病院も限られているのが現状です。また、すべての粥腫がDCA の対象になるわけではありません。極端に細い血管、曲がった血管、石灰質が血管についているような硬い病変は、DCAが苦手とするところです。

ロタブレ一夕は動脈硬化部分を粉砕

動脈硬化が進むと、血管壁に石灰が付着して極端に硬くなることがあります。そうした血管では、バルーンで拡張しょうとしても十分広がりません。
ロタブレ一夕は硬い血管壁を粉砕する強力な道具です。カテーテルの先端にこの器具を装着して病巣部分に挿入し、弾丸型のダイアモンドチップを一分間に15万回以上回転して、硬い粥腫を赤血球大にまで粉砕します。

再狭窄を防ぐためのポイント

カテーテルによる治療の初期成功率、つまりとりあえず治療がうまくいき、無事退院できる確率は、95% を超えるようになりました。しかし、まだ重大な問題が残っています。どの方法にしてもカテーテルによる冠動脈治療では、血管の内側に傷をつけることは避けられません。血管にはその傷を修復しようとする機転が働きます。術後数ヶ月以内に再狭窄を起こすことがあります。
ステントあるいはDCA が完全にできると、再狭窄は起こりにくくなります。それでも再狭窄の可能性は2割程度はあり、薬で再狭窄を減らそうという試みが行われていますが、今のところ決め手になるものは見つかっていません。治療直後にどんなにきれいに見えている血管でも、再狭窄は起こることがあります。
症状がなくても、3か月~6か月後には医師の指示にしたがって、冠動脈造影検査を受け、再狭窄の有無を確認することが必要です。再狭窄がある場合は、再度治療することができます。
ポイントは、術前と同じようなな症状が出てきたときに、必ずすぐに主治医に連絡することです。次の外来予定日までがまんしているうちに心筋梗塞を起こしてしまった、というような残念なケースもあります。
再狭窄は、安静にしていれば起こりにくいというわけでもありません。術後2週間くらいは過激な運動は避けるとしても、そこから先は医師に勧められた運動を、注意深く、しかし恐れずに行いましょう。再狭窄を防いだり早く見つけるうえで、運動を行うことと定期的な検査は重要なポイントです。