応急処置による治療

心筋梗塞の発作時、急性心不全の応急処置

心筋梗塞の発作を起こすと、心筋への血流が途絶え、心機能が低下する急性心不全を起こすことがあります。以前は発作が起こると、それに合併して起こるショックや心不全、心破裂などといった重度の合併症に対する治療法がなく、間接的な方法での対処しかすることができませんでした。
最近は血管に働きかけるさまざまな方法が開発され、救急処置の段階で命を落とさずに持ちこたえられる例が増えています。その代表が、VCT、IABP、PCPSなどの治療法です。

IVCT(冠血栓溶解法))

心筋梗塞の発作が起こつたときには、12時間以内、場合によっては24時間以内であればPTCA、あるいは血栓溶解療法が行われます。血栓溶解療法は、これまでカテーテルがすぐにできる施設では、緊急的に冠動脈造影検査を行い、血管が詰まった場所を突き止めて直接冠動脈内に血栓溶解薬を注入するICTが行われてきました。
最近では、静脈注射でも同程度の効果があることがわかりました。このため、カテーテルができないところでも、すみやかに実施できる静脈内投与法(VCT) が主体となつてきています。
血栓溶解には、T-paやウロキナーゼなどの薬を使います。早く行うほど有効といわれています。ただし、これらの薬剤は強力に凝固を抑制するため、出血がある場合などには止まらなくなり、大事に至ることがあります。とくに高齢者は注意が必要で、消化管出血、脳出血や脳梗塞、生理出血以外の内出血、大動脈解離の疑いなどがある場合には施行できません。

IABP(大動脈内バルーンポンプ)

心筋梗塞の発作や急性心不全でショック状態にあるときには、IABP(大動脈内バルーンポンプ) という装置を使うことがあります。これは心臓のポンプ機能を一時的に助ける補助循環装置です。
脚のつけ根の動脈から長いバルーンをつけたカテーテルを下大動脈に挿入します。駆動装置は体外にあり、ここから炭酸ガスを送ってバルーンをふくらませます。
心電図、大動脈庄をモニターし、心拍動に合わせて拡張と収縮を繰り返させます。動脈内のバルーンは、心臓から血液が送り出されるときはしぽんでいます。
心臓の収縮が終わり、大動脈弁が閉じる瞬間に、バルーンがふくらんで下半身に流れる血液を阻止します。こうして、心臓が拡張しているときには、冠動脈や脳動脈への血流を優先的に確保し、収縮しているときには抵抗を減らして、心筋組織が壊死するのを防ぐことになります。

PCPS((経皮的心肺補助装)

心臓に戻る血液をポンプで体外に取り出し、人工肺を通して酸素を多く含んだ血液として、下肢の動脈に戻します。こうすることで、心臓と肺の働きを補助します。