不整脈によるペースメーカ、焼灼法など

不整脈の対処

不整脈の非薬物療法には、ペースメーカ、電気的除細動、カテーテルアプレーションなどがあります。
ペースメーカは小型・軽量化が進み、患者さんの心臓の状態や生活に合わせて、選択の幅が広がっています。電気的除細動は、病院で行う大型のもの以外に、小型で、使用法も簡便な体外式の機器や、ペースメーカのように体内に埋め込む機器が実用化されています。これらの器械の普及で、致命的な不整脈からの救命ができるようになりました。

徐脈性不整脈を防ぐ

心臓に人工的な電気刺激を送って、正常なリズムで心臓を拍動させる治療法を「ペーシング」といいます。
一般的にペースメーカという場合には、小型の器械を体内に埋め込む「恒久ペーシング」をさします。ペーシングには、ほかに一時的ペーシングといって、心筋梗塞などの発作で脈拍が異常に遅くなったときに体外から電気刺激を送る場合があります。
これは通常、病院で行います。埋め込み式のペースメーカは、徐脆性不整脈の人が対象です。、房室ブロック が原因の場合が多く、一分間の心拍数が40回以下、あるいは3秒以上の長い心停止が現れる場合に使います。

埋め込み手術

ペースメーカは、電池やマイコンチップなどの本体部分と、心臓内に電気刺激を送るリード線から成っています。埋め込み手術の所要時間は約1~2時間程度、入院期間は患者さんの状態によって異なりますが、3~7日程度です。局所麻酔をして、左右どちらかの鎖骨の下を3~4センチ程度切開し、皮下にべースメーカを埋め込みます。リード線は静脈を通じて、右心房や右心室に差し込みます。電極を設置する場所は患者さんによって異なります。手術後しばらくは違和感がありますが、しだいに慣れていきます。

ペースメーカは電池で作動しています。最近は、10年あるいは、20年もつ電池も出てきましたが、電池交換の時期は器械の種類や患者さんの状態によって異なります。交換時には手術が必要です。器械ですからトラブルが起こることも想定し、6か月ごとに定期的な点検も受けなければなりません。

電気的除細動で頻脈に対応

病院で行う電気的除細動には次の2があります。

  • 電気ショックで救命
  • 心房細動を取り除く

電気ショックは、心筋梗塞の発作などで心室頻拍や心室細動が起こつたときには、緊急処置として電気的除高エネルギーの電流を瞬間的に心臓に通電し、電気ショックで正常なリズムを取り戻す方法です。
このときに使う器械は体外式除細動器といい、患者さんにかなり大きなショックを与えますが、実施するときはほとんど意識がないため、麻酔なしで行います。
心房細動を取り除くのは、電気的除細動は心房細動でも行うことがあります。心房細動によって、心臓内の血流がよどみ血栓ができこうそくると、脳梗塞などを引き起こすことがあります。
心房細動は薬による治療法もありますが、正常の脈を取り戻す効果は、電気的除細動のほうが優れています。除細動が実施できるのは、まだ血栓ができてない患者さんに限られます。そのため、ごく最近はじまった心房細動の場合以外は、ワーファリンで十分に抗凝固療法を行ってから除細動を行います。
また、軽食道超音波検査によって心臓内部に血栓がないことを確かめたうえで実施することになります。

実施できる場合は、短時間型の静脈麻酔をして電気ショックを加えます。しかし、電気的除細動でも薬物による除細動でも、また自然に直った場合でも、ときに脳梗塞を起こします可能性もあります。1~2日は入院して経過を見る必要があります。

体外式半自動除細動器は病院以外でも使える

心臓発作に伴う心室頻拍、心室細動は、一刻を争う状態です。電気的除細動は発作後2~3分以内に行う必要があります。最近出てきた体外式半自動除細動器(AED)は、器械が心電図を自動的に解析して電争ソヨツクが必要かどうかを判定します。
心室細動を感知すると、ボタンを押す指示が出て、ボタンを押せば、電流が流れるしくみです。海外では航空機内や公共施設などで使われています。
日本でも救急車内に設置し、医師の指示により救急救命士がスイッチを押すことが検討されています。

カテーテルアプレーション

心臓の興奮が伝導路をグルグル回ってしまう不整脈に対して、カテーテルの先から高周波を出して、原因となっている回路の部分を焼き切る治療法です。
発作性上室性頻拍のほか、心室頻拍、心房租動、心房柵動などでも行われるようになりました。
また、WPW症候群といって正規の伝導路以外に副伝導路があり、発作性上室性頻拍を起こしやすい人に対しては、決め手になる治療となっています。
手術に際しては、足のつけ根の大腿静脈や大腿動脈、鎖骨の下の静脈などから電極のついたカテーテルを何本か心臓内に留置して電気生理学的検査を行います。
これにより不整脈の原因となる異常部分(副伝導路) が見つかったら、その部分にカテーテルの先端を押しつけ、体表面につけた対極板の間に高周波を流して、原因部分の心筋を焼き切ります。
焼き切る温度は摂氏60度くらいで痛みはなく、胸がやや熱くなる程度です。所要時間は3~4四時間程度で、翌日から歩けます。入院期間は3~5日程度です。合併症や再発は、ごくまれに起こることがありますが、治療技術が向上し、最近の成功率は心房細動では70% 程度、それ以外では90% を超えています。原因を取り除く治療ですから、治療後は薬がいらなくなります。日常生活の制限もいりません。不整脈以外の心臓病などがある場合は、その治療を続けることになります。