2013年 の投稿一覧

脂肪を控え、バランスも重要

魚の脂肪が中性脂肪を改善する

高脂血症では、血中脂質のもととなる脂肪の総量を制限します。そのうえで脂肪の中身にも注意します。
とくに飽和脂肪酸は、体内でコレステロールを上げやすいのでとり過ぎに注意します。不飽和脂肪酸のn-6系はコレステロールを下げる作用が強力で、とり過ぎると、HDLコレステロールまで下げてしまいます。
一方、n-3系は、LDLコレステロールの低下作用は強くないのですが、HDLコレステロールを下げず、中性脂肪を下げる作用があります。n-6対n-3比は4対1が適切とされていますが、高中性脂肪血症では、n-3系を多めに使う場合もあります。
一価不飽和脂肪酸のオレイン酸は、LDLコレステロールを低下させながら、多量に使ってもHDLコレステロールを低下させません。

植物油も量には気を配る

日本人の現状で脂肪酸をバランスよくとるには、肉は一日50gくらいにして脂身や鶏肉の皮の部分を控え、魚や大豆製品をとる機会をふやすとよいでしょう。
調理用の抽は、オリーブ油、ごま油、種実類など、多種類の抽を使うのがいいのですが、1日の使用量は大さじ1~2杯程度にします。リノール酸も体内では作れないので、少量は必要です。和えものにはごまやナッツ類、韓国料理や中国料理にはごま抽、南欧料理にはオリーブ油などと使い分けるとよいでしょう。

コレステロールが高い食品はほどほどにする

コレステロールを含む食品は、食べるとすべて体内でコレステロールになるわけではありません。人間のからだでは、食べものでとる量が多いときには、肝臓で合成する量を減らす、といった調節機構が働いています。
それでもコレステロール値が高い人は、調節機構がうまく働かないことがあります。
その場合、食品でとるコレステロールの量は、1日300mg以下に抑えるのがよいとされています。体内への吸収を妨げるには、食物繊維をしっかりとります。

動脈硬化を防ぐ食習慣

糖質の摂取の目安

日本人は、食事事情がよくなってから最近まで、総摂取エネルギー源の割合は、約60~70% が糖質、約10~15% がたんぱく質、約20~25% が脂肪でした。
この比率は肉食中心で脂質をとり過ぎ、動脈硬化性の病気による死亡率が高い欧米の人たちから見ると理想的で、日本型食事として注目されました。
ところが最近は、日本人の脂質の摂取量も25% の上限を超えています。
その一方、ごはんを中心とする糖質の割合が減っています。
糖質では、体内への吸収が速い砂糖などではなく、穀類が勧められています。穀類の複合糖質は体内にゆっくり吸収され、食物繊維やビタミン、ミネラルも含まれます。特にごはんのような粒の食事は、かみごたえがあり満腹感が得られやすいものです。このため、最近の栄養管理では、ごはんを核として栄養素を配分することで、生活習慣病を改善しようとの考え方が基本となっています。このような食事をすることは、虚血性心臓病に限らず、全身の病気の予防に役立ちます。

バランスのいい食事

最近は、食品の栄養素以外に、さまざまな機能成分の有効性が説かれています。動脈硬化や虚血性心臓病を防ぐには、血液がサラサラになる食品がよい、といった情報も喧伝されていますが、食べものはすべて「過ぎたるはおよばざるがごとし」、不足すれば健康を損ないます。食品の効果を理解することは大切ですが、自分の状態に合った取り方をすることが、さらに重要です。
動脈硬化そして虚血性心臓病を防ぐ食事の基本は、簡単にいえば、多種多様な食品を過不足なくとることです。
ただ、いつでもどこでも、手軽に食べものが手に入る環境では、食べ過ぎ飲み過ぎ、とくに脂肪分や塩分が多過ぎる食事に注意が必要です。また、食事以外のいわゆる間食( 飲みものも含みます ) の取り過ぎにも注意しなければなりません。

ここでは動脈硬化の予防によい成分を紹介しますが、くれぐれも自分の状態に合った取り方をしてください。心配な場合は、かかりつけの病院の栄養相談室などで相談するのもよい方法です。

食物繊維が大切

食物繊維は大きく2種類に分類されます。根菜やきのこなどに多く含まれる非水溶性食物繊維は、腸内で便のかさを増し、胆汁酸やコレステロールを吸着して体外に排泄します。
海藻やこんにゃく、果物などに多く含まれる水溶性食物繊維は、非水溶性食物繊維と同様の働きをするほか、糖質が腸管で吸収されるのを抑え、結果として、肝臓でのコレステロールや中性脂肪の合成を防ぐとされています。
食物繊維はエネルギーがほとんどなく、カサを増やし、かみごたえもあるので、低エネルギー食で満足するときの強い味方にもなります。便秘解消にも強力に役立ちます。

抗酸化物質で悪玉化を防止

血液中にだぶついたコレステロールは酸化など変性が進むと、血管壁内のマクロファージにとり込まれ、動脈硬化を促進します。ビタミンCやE、体内でビタミンAに変わるカロテノイド( ベータ・カロテン ) 、そして、ポリフェノールは有力な抗酸化物質です。

ホモシステインを抑えるビタミン頬

血中のホモシステインが多くなり過ぎると活性酸素を生じ、血管内皮障害や血小板の凝集を引き起こし動脈硬化を促進します。

葉酸、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12は、ホモシステインの産生を抑制し、これらの栄養素を同時にとると、虚血性心臓病の危険性が低下するという研究があります。これらのビタミンはふつうの食事では不足しませんが、偏食が続いたり、極端な小食で足りなくなることがあります。外食やインスタント食品をとる回数を減らし、素材を生かした食事を多くすると自然にとりやすくなります。

ミネラルはバランスよく

ミネラルは、体内でバランスを取り合って、心筋や平滑筋の収縮や刺激伝導系の調節にかかわったり、血圧の調整にあたる役割があります。
ナトリウム塩のとり過ぎがいけないのは、ナトリウムの作用のせいです。ナトリウムは血圧を上げる作用があり、とり過ぎると、心臓や腎臓への負担が増します。
塩分は一日5g 以下でもじゅうぶんですが、日本人の食事では1一日平均13g 前後の塩分をとっているため、当面の目標として、1日10g 未満に設定されています。外食やインスタント食品の割合が多くなると、塩分のとり過ぎにつながります。

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高齢者が生活をする上で気を付ける点

全身状態の影響から急変も多い

高齢者は、高齢であるというだけで動脈硬化の危険因子を持っていることになります。冠動脈硬化だけでなく、全身の動脈硬化が進んでいる可能性があります。
狭心症あるいは心筋梗塞の患者さんでは、脳血管障害や大動脈癖、下肢の閉塞性動脈硬化などのチェックも欠かせません。
高血圧、腎機能の低下、耐糖能(血糖のコントロール) の低下などを伴っていることも少なくありません。病気を発症すると、急変することも考えておかないといけません。軽いかぜから肺炎を併発し、心肺機能が急速に低下するといったことも起こります。

痛みの自覚症状がない場合も

症状が典型的でないことも知っておく必要があります。胸痛が起こらず、息切れや動惇程度で狭心症を発症していたり、急性心筋梗塞でも、痛みを訴えることなく意識がなくなるといったことが起こります。
急性心筋梗塞では、高齢の患者さんの約3割は胸痛を感じていなかったというデータもあります。とくに糖尿病で神経障害があったり、大脳に障害がある人では、こうした無症候性の心筋虚血が起こることがあります。
食欲がない、口数が少なくなった、など、「いつもと違う」ということが、異変をとらえる大きなポイントになります。以上のことを考えると、病気を抱えるお年寄りでは、介護保険の訪問看護サービスなどを利用して、ふだんから専門家に病気の管理をしてもらうのも一つの方法です。訪問看護では緊急の対応にも応じてもらえます。

高齢者の場合、長年続けてきた生活習慣を変更することはなかなか困難ですが、危険因子をできるだけ減らすことは大切です。
禁煙は今さらと思っても、実行するにこしたことはありません。心臓だけでなく腎機能の低下などを考えると、食事を出来る限り薄味にすることも大切です。
ただ高齢になって、あれもだめ、これもだめと強制することは、意欲の低下にもつながります。主治医と相談し、様子を見ながら、できることから取り入れていくのがよいでしょう。
年をとると外出がおっくうになり、筋力も呼吸の能力も低下しがちになります。デイサービスを利用したり、家のなかで簡単な体操をするなどの習慣をつけるのもよいことでしょう。