ホルター心電図 日常生活での異常を検査

ホルター心電図

ホルター心電図 日常生活での異常を検査する心電図の検査です。

ホルダー心電図 日常生活における心臓の異常をチェック

ホルター心電図は、ホルダー博士が考案した日常活動中の長時間心電図記録です。患者さんによっては、不整脈や波形の異常がたまにしか現れず、短時間の検査では異常を見つけられない場合があります。
また狭心症や不整脈による心電図の変化のなかには、運動負荷心電図でも見つからないものもあります。ホルター心電図は、こうした異常を見つけるために、多くの場合、24四時間にわたり心電図を記録します。

胸部に3~5個の電極をつけて導線をまとめ、腰に装着した500g程度の記録装置に接続します。二~三誘導の心電図をテープレコーダに記録し、あとでコンピュータで解析する方法です。最近はテープを使わずに、lCメモリーに記録する小型のもの(50g程度) も出てきました。

ホルター心電図を付けたら入浴以外はふだんの生活をする

検査中は、ふだんと同じ生活をします。そうすることでで、動惇や胸痛などがどんなきっかけで起こるのかを確実に知ることができます。
じっととしていて何も症状が出なかったのでは、診断が下せないこともあります。ただし、防水がされていないので、入浴はできません。シャワーが可能のものもありますが、あまり普及していません。
記録器は安い新車くらいの高価なものですから、壊さないように、またよい記録をとるための注意点をしっかり守ります。
たとえば、電極がはずれるような激しい運動、大汗が出る運動は控えます。ただし、そうした激しい運動で症状が出る場合には、危険のない範囲で、そのような労作をしてみます。活動記録の装着と取りはずしは病院で行いますから、2回は病院に行くことになります。

胸に電極を貼るので、前開きの服を着ます。電極にかぶれやすい人は、前日にステロイドの入ったクリームを電極を貼る位置に塗っておくと、楽な場合があります。直前に塗ると、電極がはがれてしまいます。

行動記録もつける

検査中は行動記録も必要です。就寝、起床、食事のほか、移動、仕事、家事、飲酒、喫煙なども記録します。仕事でパソコンなどの作業を行うと動悸を起こす人もいるので行動は、細かく記入します。
何か症状があったときには、記録装置のボタンを押し、症状の内容と時刻、持続時間も書いてください。解析の結果は約1週間でわかります。ホルター心電図では、次のようなことがわかります。

  • 自覚症状が出ているときの心電図の変化。たとえば、胸痛の原因は狭心症か不整脈か、または心臓神経症か、など
  • ふだんの生活のなかで不整脈が出ているかどうか。出ているときは、その種類と程度
  • 狭心症や心筋梗塞につながる心筋虚血の有無とその重症度
  • 不整脈、狭心症の薬を使っている場合は、その効果
  • 心拍数の変化から自律神経の異常を検出。心不全や糖尿病があると、自律神経のうちの副交感神経の活性が低くなり、危険な不整脈が出やすくなる
  • ペースメーカを使っている場合は、装置が正常に作動しているかどうか

などがわかります。

日々の生活の中で感じる「動悸がする」「胸がドキッとする」「めまいやふらつきがある」といった心臓の異常。健康診断の短い時間での心電図検査では捉えきれない、こうした症状の原因を突き止めるのに役立つのが、ホルター心電図検査です。

これは、小型の記録装置を24時間にわたって装着し、普段通りの生活を送りながら心臓の電気活動を連続して記録する検査です。短時間の検査では見逃されがちな不整脈や、特定の状況下でしか現れない心臓の異常を捉えることができ、より正確な診断につながります。

ホルター心電図とは?日常生活で心臓の異常をチェック

ホルター心電図は、「長時間心電図」とも呼ばれ、日常生活を送る中で心臓の異常を詳細に記録するための検査です。

検査の目的とわかること

ホルター心電図検査では、主に以下のような心臓の異常や状態を把握できます。

  • 不整脈の検出と評価:
    • 発作性の不整脈: 動悸やめまいなど、症状が不定期に起こる場合に、その症状が出ている時の心電図を記録できます。心房細動、期外収縮、発作性頻拍症など、様々な種類の不整脈を捉えるのに有効です。
    • 無症状の不整脈: 自覚症状がないけれど、実は重要な不整脈が隠れている場合も発見できます。
    • 不整脈の種類と重症度: どのような種類の不整脈が、1日にどれくらいの頻度で、どのような心拍数で発生しているかなどを詳しく評価できます。
    • 薬の効果判定: 不整脈の薬を服用している場合、その薬が心臓のリズムにどのように作用しているか、効果を評価するのに役立ちます。
  • 心筋虚血(狭心症)の評価:
    • 安静時には異常が出ない「労作性狭心症」のように、特定の活動中やストレスがかかった時に心臓の筋肉への血流が不足(虚血)する状態を検出できます。日常生活で胸痛や胸部の圧迫感があった際の心電図変化を記録することで、診断に役立てます。特に、労作と無関係に夜間や早朝に症状が多く見られる「冠攣縮性狭心症」の診断にも有用です。
  • 自覚症状と心電図変化の関連付け:
    • 検査中に動悸や胸痛、めまいなどの症状があった場合に、患者さんがイベントボタンを押すと、その時間帯の心電図が記録されます。これにより、症状が本当に心臓から来ているものなのか、あるいは他の原因なのかを判別するのに役立ちます。
  • 心拍数の異常:
    • 1日の中での最高心拍数や最低心拍数、徐脈(脈が遅い)や頻脈(脈が速い)の有無とその程度を評価できます。
  • ペースメーカー機能の評価:
    • ペースメーカーを装着している場合、そのデバイスが正常に作動しているかどうかの確認にも利用されます。

検査の流れと日常生活の注意点

ホルター心電図検査は、以下のような流れで進められます。

  1. 装着: クリニックや病院で、胸部に心電図の電極(通常5箇所ほど)を貼り付け、スマートフォンほどの大きさの小型記録装置を腰などに装着します。痛みはありません。
  2. 日常生活: 装着後はそのまま帰宅し、普段通りの生活を送ります。仕事、食事、軽い家事などは通常通り行えます。
    • 行動記録: 検査中に体調の変化や症状(動悸、胸痛、めまいなど)があった場合は、その時間と内容を「行動記録シート」にメモしておくと、後日のデータ解析に役立ちます。また、激しい運動をした時間なども記録しておくと良いでしょう。
    • 入浴・シャワーの制限: 基本的には装着中はお風呂やシャワーは避けるよう指示されます。 記録装置を濡らすと故障の原因となるためです。体を拭く程度であれば可能です。
    • 電磁波の影響: 電子レンジや携帯電話、電気毛布など、電磁波を発する機器の近くに長時間いると、心電図の波形にノイズが混入する可能性があります。特にスマートフォンは、記録器から最低15cm以上離して使用することが推奨されます。
    • 激しい運動の制限: 装置に衝撃を与えたり、電極が剥がれたりするのを防ぐため、激しい運動は控えるよう指示されることが多いです。
  3. 取り外し・解析: 翌日、再びクリニックや病院を訪れ、記録装置を取り外します。記録されたデータはコンピューターで解析され、数日〜1週間程度で結果が出ることが一般的です。
  4. 結果説明: 後日、医師から詳細な結果説明と、今後の治療方針について相談します。

ホルター心電図が特に役立つケース

  • 症状が不定期に起こる: 健診の時だけ、あるいは病院にいる時だけでは症状が出ない「隠れた不整脈」を見つけたい場合。
  • 夜間や特定の活動中に症状が出る: 睡眠中や、スポーツをしている時など、特定の状況下で心臓の異常を感じる場合。
  • 自覚症状はないが、健診で異常を指摘された: 安静時心電図で不整脈の疑いを指摘されたが、症状がない場合の精密検査として。
  • 脳梗塞のリスク軽減: 特に、発作性心房細動(自覚症状がないこともある)は脳梗塞のリスクを高めるため、早期発見にホルター心電図が非常に重要ですし、効果的な検査法です。

ホルター心電図検査は、日常生活を送りながら心臓の活動を詳細に把握できるため、普段の生活で感じる心臓の異常の原因を特定し、適切な診断や治療につなげる上で非常に有効な検査です。もし気になる症状がある場合は、一度医師に相談し、検査を検討してみることをおすすめします。

ホルター心電図 よくあるQ&A

日々の生活の中で感じる「動悸がする」「胸がドキッとする」「めまいやふらつきがある」といった心臓の異常。健康診断の短い時間での心電図検査では捉えきれない、こうした症状の原因を突き止めるのに役立つのが、ホルター心電図検査です。

これは、小型の記録装置を24時間にわたって装着し、普段通りの生活を送りながら心臓の電気活動を連続して記録する検査です。短時間の検査では見逃されがちな不整脈や、特定の状況下でしか現れない心臓の異常を捉えることができ、より正確な診断につながります。

Q1: ホルター心電図とはどんな検査ですか?

A1: ホルター心電図は、「長時間心電図」とも呼ばれ、普段通りの生活を送りながら、心臓の電気活動を24時間連続で記録する検査です。胸に電極を貼り付け、手のひらサイズの小さな記録装置を装着して過ごします。安静時心電図のような短時間の検査ではわからない、不定期に起こる不整脈や、特定の状況下(活動中、睡眠中など)で現れる心臓の異常を見つけるのに役立ちます。

Q2: どんな目的で、何がわかる検査ですか?

A2: 主に以下のような心臓の状態や異常を評価します。

  • 不整脈の検出と評価: 動悸、めまいなどの症状が不定期に起こる際に、その症状が出ている時の心電図を記録し、不整脈の種類や頻度、重症度を詳しく調べます。自覚症状がない不整脈の発見にもつながります。

  • 心筋虚血(狭心症)の評価: 運動中やストレス時に心臓の血流が不足する「労作性狭心症」や、夜間・早朝に症状が出やすい「冠攣縮性狭心症」など、特定の状況下での心臓の異変を記録します。

  • 症状と心電図変化の関連付け: 検査中に自覚症状があった場合に、患者さんがイベントボタンを押すことで、その時間帯の心電図を重点的に解析し、症状と心臓の関連を調べます。

  • 心拍数の変化: 1日を通じた心拍数の最高値や最低値、徐脈(脈が遅い)や頻脈(脈が速い)の有無とその程度を評価します。

  • 薬の効果判定: 不整脈の薬の治療効果や、ペースメーカーの機能評価にも用いられます。

Q3: 検査時間はどれくらいですか?

A3: 記録装置を装着して日常生活を送る時間は通常24時間です。装着と取り外しのために、病院には2回通院する必要があります。

Q4: 検査を受ける前に何か準備は必要ですか?

A4: 特に食事制限はありませんが、いくつか注意点があります。

  • 服装: 胸に電極を貼るため、ゆったりとした服装や、前開きの服がおすすめです。女性の場合は、ワイヤー入りのブラジャーを避けたり、検査着に着替えるよう指示されることがあります。

  • 肌の状態: 電極が剥がれないように、胸毛の濃い方は剃毛が必要になる場合があります。また、検査前にボディクリームなどを塗るのは避けましょう。

  • 入浴・シャワー: 検査中は記録装置が濡れないように、入浴やシャワーはできません。事前に済ませておく必要があります。

  • 薬: 服用中の薬があれば、事前に医師に伝えてください。

Q5: 検査中に痛みはありますか?

A5: 検査自体に痛みは全くありません。電極を貼る際に、少し冷たく感じたり、肌が弱い方はかぶれたりすることが稀にあります。

Q6: 検査中は普段通り生活できますか?

A6: はい、基本的には普段通りの生活を送ります。仕事、食事、軽い家事などは通常通り行えます。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 激しい運動: 装置に衝撃を与えたり、電極が剥がれたりするのを防ぐため、水泳や激しいスポーツは控えるよう指示されます。

  • 入浴・シャワー: 前述の通り、水濡れ厳禁のため、入浴・シャワーはできません。

  • 電磁波: 電子レンジや携帯電話など、強い電磁波を発する機器の近くに長時間いると、記録にノイズが混入する可能性があります。特にスマートフォンは、記録器から最低15cm以上離して使用することが推奨されます。

  • 行動記録: 検査中に動悸や胸痛などの症状が出た場合は、その時間と状況を「行動記録シート」にメモしておきましょう。後で解析する際の重要な情報となります。

Q7: 検査結果はいつわかりますか?

A7: 記録装置を取り外した後、データは専門の機器で解析されます。そのため、検査結果は通常、数日〜1週間程度で出ることが多いです。後日、医師から詳しい説明があります。

Q8: どんな異常が発見されることが多いですか?

A8:

  • 期外収縮: 正常な脈拍の間に、予期せず脈が飛んだり、速く出たりする不整脈。

  • 心房細動: 心臓の上部(心房)が不規則に震えることで、脈がバラバラになる不整脈。脳梗塞のリスクが高まります。

  • 発作性上室性頻拍: 突然脈が速くなり、動悸や息切れを起こす不整脈。

  • 徐脈: 脈が異常に遅くなる不整脈。めまいや失神の原因となることがあります。

  • 無症状性心筋虚血: 自覚症状がないまま、心臓への血流が不足している状態。

Q9: 異常が見つかったらどうなりますか?

A9: 異常が見つかった場合でも、その全てが治療を必要とする病気というわけではありません。医師が記録された心電図のデータ、患者さんの自覚症状、他の検査結果などを総合的に判断します。必要に応じて、薬による治療、生活習慣の改善指導、さらなる精密検査(例:心臓超音波検査、カテーテル検査など)が提案されることがあります。

ホルター心電図検査は、普段の生活の中で心臓がどのように活動しているかを詳しく知るための非常に有効な手段です。もし、心臓に関する気になる症状があれば、一度医師に相談し、ホルター心電図検査について尋ねてみることをおすすめします。

心電図

運動負荷心電図 心臓の健康状態を知るための検査

運動負荷心電図

運動負荷心電図 (Exercise Stress Test) は、心臓の健康状態を調べるための検査です。心電図(ECG/EKG)を測定しながら運動を行うことで、運動中や運動後に心臓に異常が現れるかどうかを確認します。この検査は、特に冠動脈疾患や狭心症の診断に役立ちます。

運動負荷心電図 活動時の心臓を検査

安静時心電図はじっとしているときの心臓の働きを調べるもので、心臓に負荷がかかったときの状態は調べられません。

人間は、運動をすると、心臓は全身に血液を送るために、たくさんの酸素を必要とし、酸素の消費量が増加します。心筋に酸素を供給する冠動脈の血流量が少ないと、心筋は酸素不足になります(心筋虚血)。
また、心臓の機能が低下すると、安静時には症状がなくてーも、運動すると不整脈が起こったり、息切れの症状などが出ることがあります。この状態を調べるために行うのが、運動負荷心電図です。労作性狭心症では、胸痛などの症状が出たり、心電図に変化が現れます。痛みなどがない無症候性心筋虚血でも、心電図に変化が現れます。
運動負荷試験で運動が強くなると消えてしまう期外収縮は、あまり気にする必要はありません。反対に、運動負荷試験をすると出てくる運動誘発性不整脈の中には、生命を脅かす危険なものもあります。高脂血症や糖尿病、高血圧、肥満などで冠動脈硬化が疑われる場合にも、この検査を行うことがあります。

階段昇降法

運動負荷心電図検査で簡便な方法は、マスターの2階段テストです。年齢、性別、体重によって決められたリズムと速度で一定回数、2段の階段を昇降し、その前後に心電図を記録します。これで心機能のおおよその目安がつきますが、運動中に心電図や血圧をモニターしないので、運動中の変化がとらえられません。何か起こった場合、危険なこともあります。安全に止確な心電図をとるためには、トレッドミルか自転車エルゴメータを使います。

トレッドミル法

速度と傾斜の変わるベルトコンベア状のトレッドミルの上を歩いたり走ったり、運動負荷をかけて心電図の変化を調べます。
坂道を上る、急ぎ足で歩く、といった日常生活のなかで、心臓にどんな変化が現れるのかを調べることができます。
ベルトは連続的に、または2~3分ごとに、速度と傾斜が増していきます。最初はゆっくり、だんだんと駆け足ぎみになっていきます。ふつうは息切れ、足の疲れ、胸痛などで、運動ができなくなるまで歩きます(症候限界性最大負荷試験)。
運動中は血圧や心電図を連続的に測定します。年齢に応じた予測心拍数に達した場合は、危険な状態になる前に、運動量が十分とみなして終了することもあります。検査時問は状況により異なりますが、およそ30分程度です。

自転車エルゴメータ法

自転車のペダルをこぐ要領で、電気的に抵抗を調整した発電機を回して心臓に負荷をかけ、血圧や心電図をモニターします。
ペダルの重さ(抵抗)を変えることで、負荷量を変えていき、心電図の変化を見ます。検査時問はおよそ30分程度です。トレッドミルと違い、つまずいたりふらついても倒れることがありません。体重をサドルで支えるため、多少ひざや腰が悪い人でも、安全にできる利メリットもあります。心臓手術後や心筋梗塞の急性期、高齢者によく使われます。ただし、虚血の誘発という点ではトレッドミルのほうが優れています。

信頼できる運動能力測定

心臓病の治療目標のひとつに運動耐容能の改善ということが挙げられています。運動耐容能とは、どのくらいの運動ができるか、という能力です。運動耐容能が高い人は日常活動が活発で、いつまでも元気(不老)で長生き(長寿)できます。これは多くの研究で明らかにされていて、健康な人はもとより、心臓病の人にもよく当てはまります。

すべての心臓病の終末像は、心不全と呼ばれる多臓器不全状態または不整脈による死亡です。これらは運動耐容能が低い患者さんほど起こりやすいのです。心不全の人では、心臓のポンプ機能の善し悪しより、運動耐容能を調べるほうが、患者さんの予後を推測するのに役立ちます。心臓病の治療の評価に、運動耐容能を調べますが、正確に測定できるのが、心肺運動負荷試験(CPX)です。

心肺運動負荷試験は、運動中の心臓と肺の機能を同時に測定する検査です。トレッドミルかエルゴメータを使い、呼気ガス分析用のマスクをして運動をします。運動中は心電図や血圧とともに、酸素の摂取量、炭酸ガスの排泄量、換気量などを測りす。

運動負荷心電図の情報に加えて、最大酸素摂取量などの運動耐容能や有酸素運動の上限であるAT (嫌気性代謝閾値) などの情報が得られます。これにより、心不全の重症度を判定できます。

また、運動療法を行う際に、心臓に過剰な負担をかけずに安心して楽しめる運動強度などがわかります。4分間、安静時の心電図や酸素摂取量などを測定してから、運動を開始し、だんだん運動強度を増やしていきます。心電図変化や血圧異常がな.ければ、できるところまで続けます。

足が疲れるか、息切れが強くなるなどの症状が出たら中止します。試験の所要時間は30~50分程度です。マスクをつけても苦しくはありません。話すと呼気ガス分析データに影響します。とくに異常がない限り、黙ってふつうに呼吸をしながら検査を続けます。

運動後は6分間安静にして、心臓と肺の回復状況を調べます。一番がんばったところでの酸素摂取量を最大酸素摂取量といい、健康な人ばかりでなく、心臓病の人の生命予後の重要な指標になります。

心臓病の人では、最大酸素摂取量が3.5ml分/kg(1メッツ)増加すると、年間死亡率が12%ほど下がると言われています。

運動負荷テスト時の注意点

運動負荷心電図、運動負荷試験は、心臓に負担をかける検査ですから十分な注意が必要です。
検査室では、救急薬品や、いざというときのための電気ショック(直流除細動器) を用意しています。医師が立会い、とくに運動負荷試験の訓練を受けた臨床検査技師がようすを見ながら進めます。

ひざや足腰の弱い人は、事前に医師に伝えておきましょう。検査前には脈拍と血圧の測定を行います。体調がよくないときは、その旨を伝えてください。
途中で気分が悪くなったり、痛みが出たときには遠慮せずに、手を振るなど、あらかじめ指示された合図を送るようにします。前日は疲れが残らないよう、睡眠を十分にとります。食事は1時間前までに軽くすませます。

極端な空腹、満腹はよくありません。たばこ、とくにお酒は厳禁です。上衣は電極をつけるので脱ぎ着がしやすいもの、下衣は運動用またはゆとりのある軽いズボン、ソックスを用意します。

運動負荷心電図 よくあるQ&A

運動負荷心電図に関するよくある質問と回答をQ&A形式でまとめました。

運動負荷心電図検査は、心臓の病気を診断するためによく行われる検査の一つです。検査を受けるにあたっての疑問や不安を解消するため、よくある質問とその回答をまとめました。

Q1: 運動負荷心電図とはどのような検査ですか?

A1: 運動負荷心電図検査は、トレッドミル(ランニングマシン)やエルゴメーター(自転車こぎ)などの運動中に心電図を記録し、心臓への負荷をかけた際の心臓の状態を評価する検査です。安静時には現れない心臓の異常(狭心症や不整脈など)を発見したり、治療効果を判定したりする目的で行われます。

Q2: どのような目的で行われる検査ですか?

A2: 主な目的は以下の通りです。

  • 狭心症の診断: 運動によって心臓への負担が増したときに、冠動脈の狭窄による血流不足(虚血)を評価します。安静時心電図では異常が見られない狭心症の診断に有効です。
  • 不整脈の評価: 運動によって誘発される不整脈の種類や危険性を評価します。
  • 運動耐容能の評価: どれくらいの運動量まで耐えられるか(運動能力)を評価し、心臓病の重症度や予後を予測します。
  • 治療効果の判定: 狭心症の薬物治療やカテーテル治療の効果を評価します。
  • 高血圧の評価: 運動時の血圧上昇の程度を評価します。

Q3: 検査時間はどのくらいですか?

A3: 検査全体では、準備から片付けまで含めて30分~1時間程度かかることが多いです。実際に運動する時間は、患者さんの体力や検査目的にもよりますが、5分~15分程度が一般的です。

Q4: 検査を受けるにあたって、何か準備は必要ですか?

A4: はい、いくつか準備が必要です。

  • 食事: 検査の3時間前からは食事を控えるよう指示されることが多いです。空腹の方が望ましいですが、低血糖を防ぐため少量の水分摂取は可能です。
  • 服装: 運動しやすい服装(Tシャツ、短パン、ジャージなど)でお越しください。靴は運動靴(スニーカー)を持参するか、病院で用意されている場合もあります。
  • 薬: いつも飲んでいる薬がある場合は、事前に医師に相談してください。検査の目的によっては、薬の服用を一時的に中止するよう指示されることがあります。
  • カフェイン・喫煙: 検査前はカフェインを含む飲み物(コーヒー、お茶など)や喫煙を控えるよう指示されることがあります。

Q5: 検査中に痛みはありますか?

A5: 運動による疲労感や息切れはありますが、通常、検査自体に痛みはありません。ただし、狭心症のある方や異常がある場合には、胸の痛みや圧迫感、動悸などの症状が出ることがあります。その際は、すぐに検査技師や医師に伝えてください。

Q6: 検査は安全ですか?危険性はないですか?

A6: 運動負荷心電図は安全に配慮して行われますが、心臓に負荷をかける検査であるため、まれに以下のようなリスクもゼロではありません。

  • 狭心症の発作誘発
  • 重篤な不整脈の誘発
  • 血圧の異常な上昇または低下
  • めまい、失神
    検査中は医師や看護師が常に監視しており、異常があればすぐに検査を中断し、適切な処置が取られます。

Q7: 検査中にどのようなことが行われますか?

A7:

  1. 準備: 胸部に心電図の電極を装着し、腕に血圧計のカフを巻きます。
  2. 運動開始: トレッドミルまたはエルゴメーターに乗って運動を開始します。
  3. 負荷の増加: 運動の速度や傾斜(トレッドミル)、負荷(エルゴメーター)は、数分ごとに段階的に増えていきます。
  4. 監視: 検査中は、心電図、血圧、心拍数、自覚症状(胸の痛み、息切れなど)が常にモニターされます。
  5. 検査終了: 目標心拍数に達するか、症状が現れるか、疲労により運動が継続できなくなると検査は終了します。
  6. クールダウン: 運動終了後も、心電図や血圧は数分間記録され、心臓が安静時の状態に戻る過程を観察します。

Q8: 検査ができない場合はありますか?

A8: はい、以下のような場合は検査ができないことがあります(禁忌)。

  • 不安定狭心症や急性心筋梗塞の疑いがある場合
  • 重度の不整脈がある場合
  • 重度の高血圧や低血圧
  • 心不全が重度の場合
  • 大動脈弁狭窄症などの重い弁膜症
  • 急性感染症や発熱がある場合
  • 歩行が困難な場合(運動能力が著しく低い場合)
    検査前に医師が詳しく問診し、適用を判断します。

Q9: 検査結果はいつ、どのようにわかりますか?

A9: 検査後すぐに医師から概略の説明がある場合もありますが、詳細な結果は後日の診察時になることが一般的です。心電図の波形変化、血圧の変化、自覚症状などを総合的に評価し、診断が下されます。

Q10: 検査後、日常生活で注意することはありますか?

A10: 通常、検査後に特別な制限はありません。ただし、検査による疲労感やだるさが残ることがありますので、激しい運動は避けて安静に過ごすよう指示されることがあります。

検査

安静時心電図 心臓病の診断時の大事な検査のひとつ

安静時心電図

安静時心電図 は(Resting ECG / Resting Electrocardiogram)とは、患者がリラックスして安静にしている状態で測定される心臓の電気的活動の記録です。心臓病の診断や健康診断の項目として一般的に用いられます。

安静時心電図 12種の電気の流れを心電計に記録

心電図検査は、心臓の異常を調べるときに行う重要な検査です。一般的に行われるのは、一二誘導心電図というものですが、これは安静の状態で検査するので、安静時心電図ともいいます。

ベッドに横になって安静にし、両手首と両足首に一個ずつ、前胸部に六個の電極をつけ、心臓の中で起こっている現象を一二の方向から眺めて記録します。

同じ電気現象を見ているわけですが、心電図は口見る方向によって形が異なります。医師はこれを総合して頭の中で立体的に組み立て、左右の心房・心室の電気的興奮や動きを調べます。

上衣は脱ぎ着がしやすいものにします。スラックスは裾にゆとりがあると、脱がずに検査を受けられます。

素足がすぐ出せるように、パンティストッキングよりはソックスがよいでしょう。
時計や指輪、ネックレスなどは、はずす必要はありません。電極を装着後、心電図を記録する時仙間は1分前後です。力を入れたりすると、波形に乱れが生じることがあるので、リラックスしましょう。

縦軸は電位変化、横軸は時間

心電図には波形が記録され、縦軸は電位変化、横軸は時間を示します。波形には、P、Q、R、S 、T 、Uの名前がつけられていますが、名前に特別な意味はありません。

心臓は刺激伝導系を伝わる電気信号によって、縮んだり凄んだりして血液を循環させますが、そのペースメーカーは、洞結節という特殊心筋です。

  1. 洞結節から発信された信号は、まず右心房を刺激し、その後、左心房を刺激して心房を収縮させます。このとき現れる波をP波といいます。
  2. 洞結節から放電された電気信号は房室結節に集められ、いったんスピードダウンします。血液が心房から心室へ流れる時間を稼ぐためです。
  3. その後、ヒス束、右脚・左脚へと分かれ、プルキンエ繊維へ猛スピードで伝わって心室を収縮させ、QRS波を形成します。
  4. 心室の興奮が収まって回復過程に入ると、T波と呼ばれるゆるやかな波が現れます。Q RS彼の終わりからT彼の始まりまでをST部分といいます。

収縮運動の異常を示す心電図

洞結節から心室全体に電気信号が伝わるまでの時間は、0.2~0.3秒くらいです。洞結節は安静時には一分間に50〇~100回の電気信号を発しています。

心臓は、この信号を自発的に発信して収縮します。これを心臓の「自動能」といいます。自動能は刺激伝導系の特殊心筋のすべてが持っています。

心室や心房の筋肉はふだんは自動能を持ちませんが、洞結節が信号を出さなかったり、心房からの刺激が伝わってこない場合などには、自動能を持つことがあります。こうして心臓には幾重もの安全装置が備わり、規則正しいリズムで動いています。

ところが、心筋に虚血が起こつたり、電解質や自律神経系に異常が生じると、刺激伝導系はうまく作動せず、収縮運動に異常をきたします。刺激伝導系の特殊心筋や心臓を収縮させる作業心筋に異常があっても、心電図に異常が現れます。心電図の異常は、大別すると2つあります。1つはリズム、もう一つは波形です。

刺激伝導系の異常

刺激伝導系の異常は、不整脈となって心電図に現れます。不整脈には、さまざまな種類がありますが、大きく分けると、リズムが乱れる期外収縮や心房珊動、遅くなる徐脆、速くなる頻脈があります。

波形の異慧

病気が原因の場合は、波形に異常が現れます。たとえば、熟練した専門医は心電図の波形を見るだけで、心筋虚血の起こつた場所と状態を推定することができます。労作性狭心症の発作の最中には、ST部分が低下します。これは心内膜層の虚血のために起こります。スパスム(けいれん) 型の狭心症では、STが下がる場合もありますが、虚血が強いと、逆に一過性にST部分が上昇することがあります。

心筋梗塞の発作時には、ST部分が上昇し、しばらくすると深いQ波が現れます。深いQ波は、心筋が壊死して電気現象が失われたことを表しています。

波形の異常は、こうした心臓痛のほか、呼吸器系の病気や高血圧、甲状腺の痛気、電解質の異常による病気でも起こります。

ただし、原因となる病気のすべてが安静時心電図でわかるわけではありません。
狭心症や不整脈の一部は、発作時には心電図に異常が現れますが、発作のないときにはまったく正常の波形を示す場合もあります。

安静時心電図 とは? まとめ

安静時心電図とは、健康診断や診察で一般的に行われる、心臓の電気的な活動を記録する検査です。ベッドに仰向けになって安静にした状態で、手首、足首、胸に電極を取り付けて行われます。痛みはなく、数分で終わる手軽な検査です。

主な目的

  • 不整脈の有無を確認
  • 心筋虚血や心筋梗塞の兆候を発見
  • 心肥大(心臓が大きくなっているか)を調べる
  • ペースメーカーの動作確認
  • 薬の影響を確認

測定方法

  1. 横になった状態で、胸・手首・足首などに電極を装着
  2. 約5〜10秒間、心電図を記録
  3. 心拍数やリズム、波形(P波、QRS波、T波など)を確認

わかること

異常波形 疑われる疾患
STの上昇・下降 心筋梗塞、心筋虚血
異常なQ波 過去の心筋梗塞
不整なP波 心房細動などの不整脈
幅広いQRS波 心室性不整脈、脚ブロック
高いT波 高カリウム血症、虚血の兆候

注意点

  • 一時的な不整脈や異常は、安静時心電図では検出できないこともある
  • 胸痛などの症状がある場合は、運動負荷心電図ホルター心電図(24時間測定)を併用することがある
  • 食後や緊張状態では心電図に影響が出る場合があるため、安静が大切

安静時心電図 よくあるQ&A

安静時心電図検査は、健康診断や病院で最も一般的に行われる心臓の検査です。心臓の状態を手軽に、かつ詳細に把握できるため、多くの場面で活用されています。この検査について、皆さんが抱くであろう疑問にQ&A形式でお答えします。

Q1: 安静時心電図とはどのような検査ですか?

A1: 安静時心電図は、体が安静な状態にあるときに、心臓が発する微細な電気信号を体の表面から記録する検査です。心臓は、規則的に電気信号を発して収縮・拡張を繰り返しており、その電気活動の異常を波形としてグラフ化することで、心臓の状態を評価します。痛みはなく、数分で終わる手軽な検査です。

Q2: どのような目的で行われる検査ですか?

A2: 主な目的は以下の通りです。

  • 不整脈の発見: 心臓の拍動が速すぎたり、遅すぎたり、不規則だったりする不整脈の有無や種類を調べます。
  • 虚血性心疾患のスクリーニング: 心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患の可能性を示す変化(心筋の酸素不足など)がないかを確認します。ただし、安静時心電図では異常が出ない狭心症も多く、確定診断には別の検査が必要となる場合があります。
  • 心肥大の有無: 高血圧などが原因で心臓の筋肉が厚くなる「心肥大」がないかを評価します。
  • 電解質異常の検出: 体内のカリウムやカルシウムなどの電解質バランスの異常が心臓に影響を与えていないかを確認します。
  • 薬の影響の評価: 服用している薬が心臓に影響を与えていないか、治療効果を評価するためにも用いられます。

Q3: 検査時間はどのくらいですか?

A3: 準備を含めても5分から10分程度で完了することがほとんどです。非常に短時間で終わる検査です。

Q4: 検査を受けるにあたって、何か準備は必要ですか?

A4: 基本的には特別な準備は不要です。

  • 服装: 胸元や手首、足首に電極を装着するため、ゆったりとした服装や、脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。女性の場合、ブラジャーのワイヤーが邪魔になることがあるため、ノンワイヤーのものや、検査着への着替えを指示されることもあります。
  • 体勢: 検査中は仰向けに寝て、リラックスした状態で動かないようにします。
  • 薬: いつも飲んでいる薬は、通常通り服用して問題ありません。ただし、心配な場合は事前に医師に相談してください。

Q5: 検査中に痛みはありますか?

A5: 痛みは全くありません。 電極を肌に貼り付ける際に少しひんやり感じる程度です。電気を流すわけではないのでご安心ください。

Q6: どのようなことが行われますか?

A6:

  1. 準備: 検査台に仰向けに寝ていただきます。胸、手首、足首に合計10個の電極(クリップまたは吸盤のようなもの)を装着します。電極と肌の間にゼリー状の導電剤を塗ることがあります。
  2. 記録: 約10秒間、安静にした状態で心電図を記録します。この間は体を動かしたり、おしゃべりしたりしないようにします。
  3. 終了: 電極を外し、検査は終了です。

Q7: 検査結果はいつ、どのようにわかりますか?

A7: ほとんどの場合、検査直後に医師が波形を確認し、異常がなければその場で結果を説明してもらえます。より詳しい評価が必要な場合や、他の検査と合わせて総合的に判断する場合は、後日の診察になることもあります。

Q8: 異常が見つかったらどうなりますか?

A8: 心電図に異常が見つかった場合でも、それが必ずしも病気を意味するわけではありません。一時的なものや、年齢による変化、体質的なものの場合もあります。しかし、病気の可能性がある場合は、医師からより詳しい検査(例えば、ホルター心電図心臓超音波検査運動負荷心電図、血液検査など)を勧められることがあります。医師の指示に従い、適切な対応をとることが大切です。

Q9: どのような異常が発見されることがありますか?

A9:

  • 不整脈: 期外収縮、心房細動、徐脈(脈が遅い)、頻脈(脈が速い)など。
  • 虚血性変化: 狭心症や心筋梗塞を示唆するST部分の低下やT波の変化など。
  • 心肥大: 心臓の壁の厚さを示す波形の変化。
  • 電解質異常: カリウムやカルシウムの異常による波形変化。

Q10: 毎年健康診断で心電図を受けていますが、それで十分ですか?

A10: 健康診断の安静時心電図は、心臓の基本的な状態を確認する上で非常に重要です。しかし、安静時には異常が出にくい「隠れた病気」(例:労作性狭心症、運動誘発性不整脈など)もあります。もし、動悸、息切れ、胸の痛みなどの自覚症状がある場合は、健康診断の結果を待たずに、専門医を受診し、必要に応じて運動負荷心電図などの精密検査を受けることをおすすめします。

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