心臓検査 適宜必要となる検査について

心臓検査 その他

心臓検査 適宜必要となる検査について紹介します。いくつかありますが、その検査の目的とどうしてその検査が必要になるのかを紹介したいと想います。いくつかある 心臓検査の中で、

  • 心臓核医学検査(RI)
  • 心シンチ
  • 体表電位図
  • 加賀平均心電図
  • 圧受容体反射検査
  • プレスモーグラフィー

心臓検査

心臓核医学検査(RI)で虚血の部位を調べる

心臓核医学検査は医療用の放射性同位元素(RI=ラジオアイソトープ)を用いて、心臓の筋肉の状態や肺にたまった水の状態を調べる検査です。

RIを静脈から注射し、その流れや心臓への分布をガンマカメラで撮影します。使用するラジオアイソトープは微量で寿命の短いものですから、からだへの影響はほとんどありません。代表的なのは、心筋シンチィグラフィーです。ラジオアイソトープの種類によって、心筋梗塞の広がりをとらえたり、心筋障害の検出、心筋症の診断などに役立ち、心臓の交感神経の状態などを調べることもできます。

運動負荷検査を併用すると、運動時の心機能や虚血状態になっている場所を見つけることができます。

心シンチの受け方

当日の食事や薬については検査機関の指示を守ってください。貼り薬は検査の30分以上前にはがしておくのが一般的です。

運動負荷検査を併用する場合は、空腹、満腹を避けます。検査は外来で行い、所要時間は検査内容により異なります。

事前に問い合わせておくとよいでしょう。運動負荷検査を行う場合は、運動しやすい服装で受診してください。

撮影は、原則として運動後と約4時間後の2回行います。1回日の撮影は1時間強、2回目は30分程度かかります。運動は最初の1回だけです。ラジオアイソトープは高価で保存が効かないため、都合が悪くなり検査を受けられない場合は、むだにならないように事前に連絡をしてください。

体表電位図

マッピング検査とも呼ばれ、ふつうの心電図検査より数多くの電極をつけ、心臓が発信する電気信号を余すところなく検査するものです。情報をコンピュータで解析しさまざまな心臓病の診断に役立てます。たとえば心筋梗塞は、その部位やひろがりが、より詳しくわかります。
不整脈の発生部位や原因を知ることもできます。一部の頻脈症では外科的治療やカテーテルアプレーションのためのデータにもなります。
検査には安静時心電図と同様、何の準備もいりません。ただし胸、背中を含め87か所に電極をつけるため、検査時問は電極をつける時間を含め、30~45分程度かかります。
胸毛は剃ることになります。

その他の心電図検査のいろいろ

心電図をコンピュータに取り込み、1拍ごとに微妙に異なる心拍数の変化を記録して、自律神経と心機能の関連を調べます。検査時問は15分程度です。

加賀平均心電図

心電図を重ね合わせて心臓の小さな電位を検出します。ふつうカテーテルを入れなければ記録できないヒス束の電位を記録したり、心筋の興奮の終了にバラツキがないかを見ることができます。これにより心室頻拍などの危険な不整脈が出やすい状態かどうかを調べます。検査時問は20~30分程度です。

QTディスパーション

ふつうの心電図と同じですが、記録スピードを変えてとります。心臓のいろいろな部分で心筋が興奮してから、元の状態に戻るまでの時間のずれを測り、心室頻拍などの危険な不整脈が出やすい状態かどうかを調べます。検査時問は5分程度です。

圧受容体反射検査

心臓の悪い患者さんは、健常の人に比べて、不整脈や突然死などの発生率が高く、その背景には自律神経の異常があるといわれています。圧受容体反射検査(BRS) では、心機能が低下している患者さんや心臓手術前後の患者さんの自律神経の状態を調べます。

リハビリテーション後の効果を判定するときに行うこともあります。検査ではフェニレフリンという血圧を上げる薬を注射して血圧を少しだけ上昇させます。

自律神経が正常であれば、血圧が上がると、すぐに心拍数が減るので、両者の関係を調べることで、自律神経の機能がわかるしくみです。血圧の変化を測定するには、トノメトリーという器械を手首につけます。装着に微妙な調節が必要で、15~20分程度かかります。検査中は安静にしています。血圧を上げますが、通常は自覚症状は出ず.安全性は確立されています。
ただし、ただ緑内障、甲状腺機能克進症、心房細動がある患者さん、
収縮期血圧が170MmHg以上の人は検査できません。

プレスモーグラフィー

心臓の機能が低下している息者さんは、一般に運動機能も低下しています。これには下肢の筋肉の血流や代謝、とくに血管の内皮機能などが大きく影響しているといわれます。

血圧測定の要領で太ももとふくらはぎにマンショエットを巻き、加圧して血流を止めます。その後、マンシュツトをゆるめ、虚血になっていた下肢にどのくらいの速度で血液が流れ込むかを調べます。強い加圧中は下肢に血液が流れなくなるため、はじめは少し痛みを感じます。我慢できないときは、からだを動かさず、担当者に口頭で伝えてください。検査時問は45分程度です。

ふつうは用意された半ズボンに着替えます。足のしびれや長時間歩けなくなる閉塞性動脈硬化症の検査としても使います。

運動療法の前後に行い、下肢の血管の改善度を評価することもあります1また、下肢にむくみがあるとき、静脈機能を調べるためにも行います。このときはマンシェットを強く締めることはありません。検査前3時間は、強い運動や運動療法、たばこを避けてください。

四肢血圧測定で下肢閉塞動脈硬化症を見つける

下肢閉塞動脈硬化症は、高脂血症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病があると発症しやすく、虚血性心臓病や脳卒中を起こしやすいといわれます。この検査は、足首と上腕の血圧からABIという指数を算出し、下肢閉塞動脈硬化症を早期に見つける検査です。動脈硬化の程度もわかります。

左右の手首、足首にマンシュツトを巻いて、同時に血圧を測り、胸に心音測定のマイクを取り付けます。血圧測定は2回、10分程度で終わります。準備は何もいりませんが、両腕と両足のふくらはぎに血圧計を巻きやすい服装で受診してください。

起立負荷試験で神経調節性失神を検査

失神、めまい、ふらつきは、脳や心臓の異常のほか、自律神経の失調でも起こります。Tilt検査といい、失神などが自律神経の異常によるものかどうかを調べます。心電図と血圧を測定しながら傾斜させた台に立ち、失神やその兆候が現れるかを調べます。

失神を起こしやすくするため、少量の血管拡張薬を点滴しながら傾斜台に立つこともあります。所要時間は45~90分程度。朝食は軽めにし、薬は医師に相談しましょう。

カテーテル検査 わかること 受け方について

カテーテル検査 わかること

心臓のカテーテル検査でわかることについて詳しく紹介します。カテーテル検査は、心臓や血管の病気を診断したり、治療したりするために行われる非常に重要な精密検査です。手首や足の付け根の血管から細い管(カテーテル)を挿入し、心臓や血管の内部まで進めて、直接的な情報や画像を得ることで、様々な病態を詳細に把握することができます。

カテーテル検査 わかること

カテーテル検査でどのようなことがわかるのか、その種類や得られる情報、そして検査の意義について紹介します。

血管に細い管を入れて心臓まで通す

心臓カテーテル検査とは、柔らかい細い管(カテーテル) を腕または足の血管から心臓まで挿入し、圧力を測ったり、造影剤を入れて写真や映画を撮ったり、生検をするなど、さまざまな検査の総称です。
血管や心臓の内部から構造や動き、血圧、血流などを調べることで、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症などの診断を確定し、心不全の程度なども知ることができます。治療方針の判断材料となり、治療効果の判定にも使います。
心臓の詳しい検査を行う場合に、心臓カテーテルは必須です。

冠動脈造影

造影剤を注入して冠動脈を映し出します。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心臓病の場合、冠動脈のどのあたりが詰まったか、その状態はどうかを調べます。

大動脈造影

解離性大動脈瘤、大動脈縮窄症などを調べます。大動脈弁閉鎖不全があると、血液が逆流して左心室が造影されます。

左室造影

左心室の庄を測定し、造影剤を注入して左心室内部を撮影します。心筋梗塞や心筋症では、左心室の壁運動が低下したり左心室の拡大が見られます。僧帽弁不全があると、本来映し出されない左心房が僧帽弁の逆流のために映ります。

右心カテーテル

柔らかいスワンガンツカテーテルがよく使われます。カテーテルの先端にバルーン(風船) をつけ、血液の流れに乗って静脈から右心房、右心室、肺動脈まで挿入します。肺動脈庄、右心室・右心房の圧、心拍出量を調べ、心不全の状能小や肺高血圧の状態を調べます。
また右心室から造影剤を注人すると、三尖弁閉鎖不全症や右心室の心筋症、肺動脈弁狭窄症なども診断できます。

電気生理学検査

略称はEPS。本の電極カテーテルを静脈から挿入し、心臓内の電気現象を分析したり、電気刺激を与えて心臓内の心電図を記録します。不整脈の診断と治療方針の決定に重要です。

心筋生検

心筋の病気が疑われるとき、カテーテルで心筋の一部を採取し病理検査をします。

カテーテル検査の注意点

心臓カテーテル検査はほとんど危険性のない検査ですが、出血を伴う検査なので完壁に安全とはいいきれません。
このため承諾書が必要です。検査は、局部麻酔で行い、カテーテルを、手首、肘、太もものつけ板のいずれかの血管に挿入します。
検査中に動惇などの異常を感じたら、からだを動かさずに、口頭で伝えます。

検査時間は個人差がありますが、おおよそ1時間です。カテーテルを抜いたあとは、圧迫止血をするだけです。
通常は血管切開や縫合をしないので抜糸はしません。検査後六~八時間は、止血のためにベッドでの安静が必要です。安静解除後、出血することがあり、そのときは再度圧迫止血をします。
内出血や痛みを感じる場合もありますが、通常は処置の必要はなく自然に消失します。退院は原則として、検査の翌日となります。一泊入院で行われる検査です。

1. カテーテル検査とは?基本的な知識 まとめ

カテーテル検査は、診断と治療の両面で活用される、循環器疾患における中心的役割を担う手技です。

1.1 カテーテル検査の概要

  • 目的: 心臓や血管の構造や機能、血流の状態などを詳細に評価し、病気の診断を確定したり、治療方針を決定したりするために行われます。
  • 方法: 局所麻酔後、手首(橈骨動脈)や足の付け根(大腿動脈、大腿静脈)などの血管から、数ミリ程度の細い管(カテーテル)を挿入します。このカテーテルをX線透視装置で確認しながら、目的の心臓の部屋や血管まで慎重に進めていきます。
  • 種類: 診断を目的とした「診断カテーテル検査」と、治療を目的とした「治療カテーテル検査(インターベンション)」があります。このページでは主に診断でわかることに焦点を当てます。

1.2 なぜカテーテル検査が必要なのか?

超音波検査(心エコー)、CT検査、MRI検査などの非侵襲的な検査でも多くの情報が得られますが、カテーテル検査は、それらの検査では得られないより詳細で確実な情報を提供します。

  • 直接的な圧力測定: 心臓の各部屋や血管内の圧力を直接測定できます。
  • 血流の評価: 血液の量や流れの異常を正確に把握できます。
  • 造影剤による詳細な画像: カテーテルから造影剤を注入することで、血管の狭窄や閉塞、奇形などを鮮明に映し出すことができます。
  • 生体組織の採取(生検): 必要に応じて、心臓の筋肉の一部を採取し、病理組織学的検査を行うことができます。

2. カテーテル検査で「心臓」についてわかること

心臓カテーテル検査は、心臓の様々な構造や機能異常を明らかにします。

2.1 冠動脈疾患の診断(狭心症・心筋梗塞)

心臓カテーテル検査の最も一般的な目的の一つが、冠動脈(心臓を栄養する血管)の状態の評価です。

  • 冠動脈の狭窄や閉塞の有無、部位、程度:
    • カテーテルを冠動脈の入り口まで進め、造影剤を注入しながらX線撮影を行います。これにより、冠動脈のどの部分がどれくらい狭くなっているか(狭心症の原因)や、完全に詰まっているか(心筋梗塞の原因)を鮮明な画像で確認できます。
    • 単なる狭窄だけでなく、血管の形態(石灰化の有無、屈曲など)も詳細に把握し、治療方針を決定する上で重要な情報となります。
  • バイパス血管の評価: 過去に冠動脈バイパス手術を受けたことがある場合、バイパス血管の開通状況や狭窄の有無も確認できます。

2.2 心臓の機能評価

心臓のポンプ機能や弁の働きを詳細に調べることができます。

  • 心腔内圧の測定:
    • 心臓の各部屋(右心房、右心室、肺動脈、左心房、左心室、大動脈)の血圧を直接測定し、心臓の拍出能力や、弁の異常による圧力変化(狭窄や逆流)を評価します。
    • これにより、心不全の重症度や、心臓弁膜症の具体的な状態(弁の開き具合や閉じ具合の異常)を正確に把握できます。
  • 心拍出量の測定:
    • 心臓が1分間に送り出す血液の量(心拍出量)を測定し、心臓のポンプ機能の指標とします。
  • 酸素飽和度の測定:
    • 心臓の各部屋や主要血管内の血液の酸素濃度を測定し、心臓の先天性疾患などで血液が異常な経路で流れている(シャントがある)かどうかを調べます。例えば、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などの診断に役立ちます。

2.3 心筋疾患の診断

心臓の筋肉そのものの異常を評価します。

  • 心筋生検:
    • 心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症など)や心筋炎が疑われる場合、カテーテルを用いて心臓の筋肉のごく一部を採取し、顕微鏡で病理組織学的検査を行います。これにより、病気の確定診断や原因の特定に繋がります。

2.4 不整脈の原因究明(電気生理学的検査)

不整脈の原因となる心臓内の異常な電気信号の発生部位や伝導経路を特定します。

  • カテーテルアブレーション前:
    • 不整脈の原因となっている異常な電気信号の発生源や、その信号が伝わる経路をカテーテルを用いて詳細にマッピングし、焼き切る(アブレーション)治療を行う際の正確な位置を特定します。
    • 心房細動、上室性頻拍、心室頻拍などの治療に不可欠な検査です。

3. カテーテル検査で「血管」についてわかること

心臓以外の全身の血管の状態も、カテーテル検査によって詳細に評価することができます。

3.1 末梢動脈疾患の診断

四肢の動脈(特に足の血管)の狭窄や閉塞を評価します。

  • 血管の狭窄・閉塞の有無、部位、程度:
    • 足のしびれや痛み、間欠性跛行(歩くと足が痛くなり休むと改善する)などの症状がある場合、カテーテルで下肢動脈に造影剤を注入し、血管の詰まり具合を評価します。
    • これにより、血行再建術(バイパス手術やカテーテル治療)の適応や治療方針を決定します。

3.2 腎動脈狭窄症の診断

腎臓へ血液を送る腎動脈の狭窄を評価します。

  • 高血圧の原因究明: 腎動脈の狭窄は、治療抵抗性の高血圧の原因となることがあります。カテーテルで腎動脈の狭窄を確認し、必要に応じてカテーテル治療(バルーン拡張術やステント留置術)を行います。

3.3 脳血管疾患の診断(脳血管内治療前)

脳動脈瘤や脳動静脈奇形など、脳血管の異常を詳細に評価します。

  • 脳血管の形態と血流:
    • 脳出血やくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の正確な位置、大きさ、形などを詳細に把握します。
    • 脳動静脈奇形の構造や血流、周囲の血管との関係などを評価し、カテーテルを用いた治療(コイル塞栓術など)の計画に役立てます。

4. カテーテル検査でわかることの重要性

カテーテル検査は、心臓や血管の病気の診断と治療において、他の検査では得られない以下のような重要な情報を提供します。

  • 確定診断: 疑わしい病気の診断を最終的に確定させます。
  • 病態の詳細な把握: 病気の進行度、範囲、関連する他の異常など、病態を包括的に理解できます。
  • 治療方針の決定: 手術、カテーテル治療、薬物治療など、最適な治療法を選択するための根拠となります。
  • 治療効果の評価: 治療後にカテーテル検査を行うことで、治療がどれくらい成功したかを客観的に評価できます。

5. カテーテル検査を受ける際の注意点

カテーテル検査は一般的に安全な検査ですが、少なからずリスクも伴います。

  • 事前の説明: 検査の目的、方法、起こりうる合併症(出血、感染、アレルギー反応、不整脈、脳梗塞、心筋梗塞など)について、担当医から十分な説明を受け、納得した上で同意書に署名することが重要です。
  • アレルギーの有無: 造影剤アレルギー、局所麻酔薬アレルギーの既往がある場合は、必ず事前に申告してください。
  • 持病・内服薬: 糖尿病、腎臓病などの持病や、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬、抗凝固薬)を服用している場合は、事前に医師に伝えて指示を仰ぎましょう。

まとめ:カテーテル検査は「心臓・血管の羅針盤」

カテーテル検査は、心臓や血管の病気において、目に見えない内部の情報を明らかにし、病気の診断から治療、そしてその後の経過観察に至るまで、極めて重要な役割を果たす精密検査です。冠動脈の狭窄、心臓弁膜症、不整脈の原因、末梢血管の異常など、多岐にわたる病態を詳細に「見える化」することで、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供するための「羅針盤」となります。

この検査が必要と診断された場合は、担当医と十分に話し合い、疑問点を解消した上で検査に臨むことが大切です。

 

心臓超音波検査 (心エコー) 心臓で欠かせない検査からわかること

心臓超音波検査 (心エコー)

心臓超音波検査  (心エコー) 心臓で欠かせない検査からわかることを紹介します。心臓超音波検査(心エコー検査)は、超音波を使って心臓の構造や動きをリアルタイムで観察する安全かつ非侵襲的な検査方法です。

心臓超音波検査 は、心臓内部の状態を見る検査

心臓超音波(心エコー図) 検査は、人間の耳には聞こえない振動数の高い超音波を使って、心臓の内部を調べる検査です。
漁船が魚群のありかを調べる魚群探知機と同様のしくみで、胸に探触子(プローブ) を当てて超音波を送り、反射波を画像としてモニターに映し出します。

心エコーでわかること

この検査では、心臓をさまざまな角度から観察して、心房や心室の大きさ、弁のようす、心室の壁の厚さ、心筋の動きなどを調べます。

これにより、心肥大、心拡大、高血圧性心臓病、、心臓腫瘍、心膜疾患、心臓弁膜症、心筋梗塞の有無とその程度がわかります。超音波ドップラー法では、さらに心臓内の血流のようすを調べることができます。カラードップラ一法では、血流が赤と青の二色で表示され、逆流性の弁膜症や先天性の心臓病の診断に役立ちます。PW法、CW法という方法では、心臓内の血流を観察します。弁狭窄症では弁の前後の庄の差を推定し、弁口面積を計算します。

肺高血圧症の有無なども診断できます。心臓超音波検査は、心臓病の診断だけでなく、治療方法や手術の時期を決めるための判断材料となります。また治療効果の判定にも役立ちます。
検査そのものは、寝ているだけで終わります。

心エコーの受け方

心臓超音波検査は、痛みもなく、妊娠中に胎児の検査をするときにも使われる安全な検査です。ペースメーカや人工弁をつけていても影響ありません。飲食の禁止もありません。
検査の際には、左側を下あるいは斜め下にして横になります。

これは心臓をできるだけ胸壁に近づけるためです。探触子にゼリーをつけて胸に当てるとき、少し冷たく感じます。
肺が超音波の通過を妨げないように、息を吐き出して止めるように指示されることもあります。検査時問は30~60分程度ですが、画像を得にくかったり異常が見つかると長引くことがあります。

エコーで判別できない部位は経食道エコーを行うことも

食道は心臓の後ろ側にあり、左心房の後面に接しています。胸壁から見にくい心臓の後ろ側も、食道からはよく観察できます。
食道に探触子を挿入して観察します。この方法を軽食道超音波(エコー)検査といいます。この検査では、左心房の左心耳という部分を観察しやすく、心房内の血栓の検査に役立ちます。
人工弁の裏側、胸部大動瘤の有無なども調べられます。

経食道エコーの受け方

検査当日は、検査中のおう吐を避けるため、薬を服用するための水以外は、飲食をしないでください。
検査前には、食道に探触子を挿入するため、事前に麻酔をして、のどの神経をマヒさせておきます。胃カメラと同じ要領ですが、胃までは入れません。

検査中は唾液を飲み込まないようにします。検査時問は人により異なりますが、5~10分ほどです。検査後は十分にうがいをし、少なくとも30分は飲食をしないでください。麻酔のため、のどがしばらくしびれますが、これは自然に戻ります。

血管エコー検査は動脈硬化を調べる

血管エコー検査は、体表から動脈に探触子を当て、動脈の太さ、血栓の有無、動脈硬化の程度、血流の流れを調べます。

症状に応じて、次のような部分を調べますが、検査時問は人により異なります。10分以内のこともあれば、1時間以上かかることもあります。

腹部大動脈の検査も行う

自覚症状がなかったり、触診や聴診で見つからない腹部大動脈痛を見つけられる場合があります。胃腸にガスや食物があると、超音波が妨げられて十分な調査ができないことがあります。検査当日は薬のための水以外は、飲食を避けてください。

頸動脈の検査

脳卒中の原因となる頚動脈の詰まり具合、脳動脈や冠動脈の動脈硬化を予測したり、血栓の有無などを調べます。飲食の禁止はありません。

探触子が頚動脈に触れやすいように、首を反らせて検査をすることがあります。首に痛みがあったり反らせにくい場合は、検査担当者に、その旨を伝えてください。

下肢の動脈検査

閉塞性動脈硬化症では、下肢の血流が悪くなるため、足が冷えて痛んだり、間欠跛行といって、歩いてしばらくすると痛くて歩けなくなり、しばらく休むと、また歩けるようになるといった症状が現れます。こうした症状があるときは、下肢に動脈硬化がないかどうかを調べます。

腹部のエコー検査が必要になることも

腹部エコー検査は、胆のう、肝臓、膵臓、腎臓、さらに下腹部の臓器を対象とした検査です。通常、循環器系の検査では行いませんが、痛みの訴え方によっては、この検査を行うことがあります。たとえば、胆石症の痛みの場合は、胸の痛みと区別がつかないことがあります。

中性脂肪値が高いと脂肪肝になりやすく、肥満、飲酒家に多くみられます。超音波で簡単に見つけられます。
腹部エコー検査では、腹部のいろいろな部分に探触子を当てますが、ときに強めに押しっけることもあります。からだの向きを変えたり、呼吸を止めてもらうこともあります。検査前6時間は絶食です。水と薬は飲んでかまいません。検査直前には、なるべくトイレに行かないようにします。女性では、訴えによっては乳腺の検査をすることもあります。

心臓超音波検査 (心エコー ) についてまとめ

検査の目的

心臓超音波検査は、以下のような状況で行われます。

  1. 心臓の構造異常の確認
    心臓弁膜症、心室や心房の異常、先天性心疾患の診断に役立ちます。
  2. 心臓の機能評価
    心筋の収縮力、血液の流れ、心臓のポンプ機能を評価します。
  3. 心膜の状態確認
    心膜に液体が溜まる心膜炎や心タンポナーデの検出に利用されます。
  4. 血栓や腫瘍の確認
    心臓内部の血栓や腫瘍の有無を調べます。
  5. 心不全や狭心症の評価
    心不全や心筋梗塞による心臓のダメージを評価します。

検査の種類

1. 経胸壁心エコー(TTE)

胸に超音波プローブを当てて心臓を観察する一般的な方法です。痛みがなく、外来で簡単に行えます。

2. 経食道心エコー(TEE)

喉から食道に細いプローブを挿入して心臓を観察します。経胸壁では見えにくい心臓の裏側や血栓をより詳細に検査できます。

3. ストレス心エコー

運動や薬物で心臓に負荷をかけた状態を観察し、狭心症や虚血性心疾患の診断を行います。

4. ドプラ心エコー

超音波の反射を利用して血液の流れを測定し、血管の狭窄や逆流の有無を調べます。

検査の流れ

  1. 準備
    特別な準備は不要ですが、経食道心エコーの場合は検査前数時間の絶食が必要です。
  2. 実施
    ベッドに横になり、超音波プローブを胸部に当てて画像を記録します。経食道心エコーでは、麻酔スプレーで喉をしびれさせた後、プローブを挿入します。
  3. 所要時間
    検査時間は通常30分から1時間程度です。

メリットと注意点

メリット

  • 痛みがなく安全性が高い。
  • 放射線を使用しないため、妊婦や子供にも適応可能。
  • リアルタイムで心臓の動きを確認できる。

注意点

  • 経食道心エコーは若干の不快感が伴う場合があります。
  • 肥満や胸壁が厚い場合、画像が不鮮明になることがあります。

検査後のケア

特別な制限はありませんが、経食道心エコーを受けた場合は喉の麻酔が切れるまで飲食を控える必要があります。

まとめ

心臓超音波検査は、心臓病の早期発見や正確な診断に役立つ重要な検査です。疑わしい症状がある場合や、心臓病のリスクがある場合には、医師と相談して検査を受けることをおすすめします。

検査