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その他の心臓検査

心臓核医学検査(RI)で虚血の部位を調べる

心臓核医学検査は医療用の放射性同位元素(RI=ラジオアイソトープ)を用いて、心臓の筋肉の状態や肺にたまった水の状態を調べる検査です。
RIを静脈から注射し、その流れや心臓への分布をガンマカメラで撮影します。使用するラジオアイソトープは微量で寿命の短いものですから、からだへの影響はほとんどありません。代表的なのは、心筋シンチィグラフィーです。ラジオアイソトープの種類によって、心筋梗塞の広がりをとらえたり、心筋障害の検出、心筋症の診断などに役立ち、心臓の交感神経の状態などを調べることもできます。
運動負荷検査を併用すると、運動時の心機能や虚血状態になっている場所を見つけることができます。

心シンチの受け方

当日の食事や薬については検査機関の指示を守ってください。貼り薬は検査の30分以上前にはがしておくのが一般的です。
運動負荷検査を併用する場合は、空腹、満腹を避けます。検査は外来で行い、所要時間は検査内容により異なります。
事前に問い合わせておくとよいでしょう。運動負荷検査を行う場合は、運動しやすい服装で受診してください。撮影は、原則として運動後と約4時間後の2回行います。1回日の撮影は1時間強、2回目は30分程度かかります。運動は最初の1回だけです。ラジオアイソトープは高価で保存が効かないため、都合が悪くなり検査を受けられない場合は、むだにならないように事前に連絡をしてください。

体表電位図

マッピング検査とも呼ばれ、ふつうの心電図検査より数多くの電極をつけ、心臓が発信する電気信号を余すところなく検査するものです。情報をコンピュータで解析しさまざまな心臓病の診断に役立てます。たとえば心筋梗塞は、その部位やひろがりが、より詳しくわかります。
不整脈の発生部位や原因を知ることもできます。一部の頻脈症では外科的治療やカテーテルアプレーションのためのデータにもなります。
検査には安静時心電図と同様、何の準備もいりません。ただし胸、背中を含め87か所に電極をつけるため、検査時問は電極をつける時間を含め、30~45分程度かかります。
胸毛は剃ることになります。

その他の心電図検査のいろいろ

心電図をコンピュータに取り込み、1拍ごとに微妙に異なる心拍数の変化を記録して、自律神経と心機能の関連を調べます。検査時問は15分程度です。

加賀平均心電図

心電図を重ね合わせて心臓の小さな電位を検出します。ふつうカテーテルを入れなければ記録できないヒス束の電位を記録したり、心筋の興奮の終了にバラツキがないかを見ることができます。これにより心室頻拍などの危険な不整脈が出やすい状態かどうかを調べます。検査時問は20~30分程度です。

QTディスパーション

ふつうの心電図と同じですが、記録スピードを変えてとります。心臓のいろいろな部分で心筋が興奮してから、元の状態に戻るまでの時間のずれを測り、心室頻拍などの危険な不整脈が出やすい状態かどうかを調べます。検査時問は5分程度です。

圧受容体反射検査

心臓の悪い患者さんは、健常の人に比べて、不整脈や突然死などの発生率が高く、その背景には自律神経の異常があるといわれています。圧受容体反射検査(BRS) では、心機能が低下している患者さんや心臓手術前後の患者さんの自律神経の状態を調べます。
リハビリテーション後の効果を判定するときに行うこともあります。検査ではフェニレフリンという血圧を上げる薬を注射して血圧を少しだけ上昇させます。
自律神経が正常であれば、血圧が上がると、すぐに心拍数が減るので、両者の関係を調べることで、自律神経の機能がわかるしくみです。血圧の変化を測定するには、トノメトリーという器械を手首につけます。装着に微妙な調節が必要で、15~20分程度かかります。検査中は安静にしています。血圧を上げますが、通常は自覚症状は出ず.安全性は確立されています。
ただし、ただ緑内障、甲状腺機能克進症、心房細動がある患者さん、
収縮期血圧が170MmHg以上の人は検査できません。

プレスモーグラフィー

心臓の機能が低下している息者さんは、一般に運動機能も低下しています。これには下肢の筋肉の血流や代謝、とくに血管の内皮機能などが大きく影響しているといわれます。
血圧測定の要領で太ももとふくらはぎにマンショエットを巻き、加圧して血流を止めます。その後、マンシュツトをゆるめ、虚血になっていた下肢にどのくらいの速度で血液が流れ込むかを調べます。強い加圧中は下肢に血液が流れなくなるため、はじめは少し痛みを感じます。我慢できないときは、からだを動かさず、担当者に口頭で伝えてください。検査時問は45分程度です。ふつうは用意された半ズボンに着替えます。足のしびれや長時間歩けなくなる閉塞性動脈硬化症の検査としても使います。
運動療法の前後に行い、下肢の血管の改善度を評価することもあります1また、下肢にむくみがあるとき、静脈機能を調べるためにも行います。このときはマンシェットを強く締めることはありません。検査前3時間は、強い運動や運動療法、たばこを避けてください。

四肢血圧測定で下肢閉塞動脈硬化症を見つける

下肢閉塞動脈硬化症は、高脂血症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病があると発症しやすく、虚血性心臓病や脳卒中を起こしやすいといわれます。この検査は、足首と上腕の血圧からABIという指数を算出し、下肢閉塞動脈硬化症を早期に見つける検査です。動脈硬化の程度もわかります。
左右の手首、足首にマンシュツトを巻いて、同時に血圧を測り、胸に心音測定のマイクを取り付けます。血圧測定は2回、10分程度で終わります。準備は何もいりませんが、両腕と両足のふくらはぎに血圧計を巻きやすい服装で受診してください。

起立負荷試験で神経調節性失神を検査

失神、めまい、ふらつきは、脳や心臓の異常のほか、自律神経の失調でも起こります。Tilt検査といい、失神などが自律神経の異常によるものかどうかを調べます。心電図と血圧を測定しながら傾斜させた台に立ち、失神やその兆候が現れるかを調べます。
失神を起こしやすくするため、少量の血管拡張薬を点滴しながら傾斜台に立つこともあります。所要時間は45~90分程度。朝食は軽めにし、薬は医師に相談しましょう。

カテーテル検査でわかること受け方について

血管に細い管を入れて心臓まで通す

心臓カテーテル検査とは、柔らかい細い管(カテーテル) を腕または足の血管から心臓まで挿入し、圧力を測ったり、造影剤を入れて写真や映画を撮ったり、生検をするなど、さまざまな検査の総称です。
血管や心臓の内部から構造や動き、血圧、血流などを調べることで、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症などの診断を確定し、心不全の程度なども知ることができます。治療方針の判断材料となり、治療効果の判定にも使います。
心臓の詳しい検査を行う場合に、心臓カテーテルは必須です。

冠動脈造影

造影剤を注入して冠動脈を映し出します。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心臓病の場合、冠動脈のどのあたりが詰まったか、その状態はどうかを調べます。

大動脈造影

解離性大動脈瘤、大動脈縮窄症などを調べます。大動脈弁閉鎖不全があると、血液が逆流して左心室が造影されます。

左室造影

左心室の庄を測定し、造影剤を注入して左心室内部を撮影します。心筋梗塞や心筋症では、左心室の壁運動が低下したり左心室の拡大が見られます。僧帽弁不全があると、本来映し出されない左心房が僧帽弁の逆流のために映ります。

右心カテーテル

柔らかいスワンガンツカテーテルがよく使われます。カテーテルの先端にバルーン(風船) をつけ、血液の流れに乗って静脈から右心房、右心室、肺動脈まで挿入します。肺動脈庄、右心室・右心房の圧、心拍出量を調べ、心不全の状能小や肺高血圧の状態を調べます。
また右心室から造影剤を注人すると、三尖弁閉鎖不全症や右心室の心筋症、肺動脈弁狭窄症なども診断できます。

電気生理学検査

略称はEPS。本の電極カテーテルを静脈から挿入し、心臓内の電気現象を分析したり、電気刺激を与えて心臓内の心電図を記録します。不整脈の診断と治療方針の決定に重要です。

心筋生検

心筋の病気が疑われるとき、カテーテルで心筋の一部を採取し病理検査をします。

カテーテル検査の注意点

心臓カテーテル検査はほとんど危険性のない検査ですが、出血を伴う検査なので完壁に安全とはいいきれません。
このため承諾書が必要です。検査は、局部麻酔で行い、カテーテルを、手首、肘、太もものつけ板のいずれかの血管に挿入します。
検査中に動惇などの異常を感じたら、からだを動かさずに、口頭で伝えます。
検査時間は個人差がありますが、おおよそ1時間です。カテーテルを抜いたあとは、圧迫止血をするだけです。
通常は血管切開や縫合をしないので抜糸はしません。検査後六~八時間は、止血のためにベッドでの安静が必要です。安静解除後、出血することがあり、そのときは再度圧迫止血をします。
内出血や痛みを感じる場合もありますが、通常は処置の必要はなく自然に消失します。退院は原則として、検査の翌日となります。一泊入院で行われる検査です。

心臓超音波検査でわかること

心臓内部の状態を見る

心臓超音波(心エコー図) 検査は、人間の耳には聞こえない振動数の高い超音波を使って、心臓の内部を調べる検査です。
漁船が魚群のありかを調べる魚群探知機と同様のしくみで、胸に探触子(プローブ) を当てて超音波を送り、反射波を画像としてモニターに映し出します。

心エコーでわかること

この検査では、心臓をさまざまな角度から観察して、心房や心室の大きさ、弁のようす、心室の壁の厚さ、心筋の動きなどを調べます。
これにより、心肥大、心拡大、高血圧性心臓病、、心臓腫瘍、心膜疾患、心臓弁膜症、心筋梗塞の有無とその程度がわかります。超音波ドップラー法では、さらに心臓内の血流のようすを調べることができます。カラードップラ一法では、血流が赤と青の二色で表示され、逆流性の弁膜症や先天性の心臓病の診断に役立ちます。PW法、CW法という方法では、心臓内の血流を観察します。弁狭窄症では弁の前後の庄の差を推定し、弁口面積を計算します。
肺高血圧症の有無なども診断できます。心臓超音波検査は、心臓病の診断だけでなく、治療方法や手術の時期を決めるための判断材料となります。また治療効果の判定にも役立ちます。
検査そのものは、寝ているだけで終わります。

心エコーの受け方

心臓超音波検査は、痛みもなく、妊娠中に胎児の検査をするときにも使われる安全な検査です。ペースメーカや人工弁をつけていても影響ありません。飲食の禁止もありません。
検査の際には、左側を下あるいは斜め下にして横になります。
これは心臓をできるだけ胸壁に近づけるためです。探触子にゼリーをつけて胸に当てるとき、少し冷たく感じます。
肺が超音波の通過を妨げないように、息を吐き出して止めるように指示されることもあります。検査時問は30~60分程度ですが、画像を得にくかったり異常が見つかると長引くことがあります。

エコーで判別できない部位は経食道エコーを行うことも

食道は心臓の後ろ側にあり、左心房の後面に接しています。胸壁から見にくい心臓の後ろ側も、食道からはよく観察できます。
食道に探触子を挿入して観察します。この方法を軽食道超音波(エコー)検査といいます。この検査では、左心房の左心耳という部分を観察しやすく、心房内の血栓の検査に役立ちます。
人工弁の裏側、胸部大動瘤の有無なども調べられます。

経食道エコーの受け方

検査当日は、検査中のおう吐を避けるため、薬を服用するための水以外は、飲食をしないでください。
検査前には、食道に探触子を挿入するため、事前に麻酔をして、のどの神経をマヒさせておきます。胃カメラと同じ要領ですが、胃までは入れません。
検査中は唾液を飲み込まないようにします。検査時問は人により異なりますが、5~10分ほどです。検査後は十分にうがいをし、少なくとも30分は飲食をしないでください。麻酔のため、のどがしばらくしびれますが、これは自然に戻ります。

血管エコー検査は動脈硬化を調べる

血管エコー検査は、体表から動脈に探触子を当て、動脈の太さ、血栓の有無、動脈硬化の程度、血流の流れを調べます。
症状に応じて、次のような部分を調べますが、検査時問は人により異なります。10分以内のこともあれば、1時間以上かかることもあります。

腹部大動脈の検査も行う

自覚症状がなかったり、触診や聴診で見つからない腹部大動脈痛を見つけられる場合があります。胃腸にガスや食物があると、超音波が妨げられて十分な調査ができないことがあります。検査当日は薬のための水以外は、飲食を避けてください。

▼頸動脈の検査

脳卒中の原因となる頚動脈の詰まり具合、脳動脈や冠動脈の動脈硬化を予測したり、血栓の有無などを調べます。飲食の禁止はありません。
探触子が頚動脈に触れやすいように、首を反らせて検査をすることがあります。首に痛みがあったり反らせにくい場合は、検査担当者に、その旨を伝えてください。

下肢の動脈検査

閉塞性動脈硬化症では、下肢の血流が悪くなるため、足が冷えて痛んだり、間欠跛行といって、歩いてしばらくすると痛くて歩けなくなり、しばらく休むと、また歩けるようになるといった症状が現れます。こうした症状があるときは、下肢に動脈硬化がないかどうかを調べます。

腹部のエコー検査が必要になることも

腹部エコー検査は、胆のう、肝臓、膵臓、腎臓、さらに下腹部の臓器を対象とした検査です。通常、循環器系の検査では行いませんが、痛みの訴え方によっては、この検査を行うことがあります。たとえば、胆石症の痛みの場合は、胸の痛みと区別がつかないことがあります。
中性脂肪値が高いと脂肪肝になりやすく、肥満、飲酒家に多くみられます。超音波で簡単に見つけられます。
腹部エコー検査では、腹部のいろいろな部分に探触子を当てますが、ときに強めに押しっけることもあります。からだの向きを変えたり、呼吸を止めてもらうこともあります。検査前6時間は絶食です。水と薬は飲んでかまいません。検査直前には、なるべくトイレに行かないようにします。女性では、訴えによっては乳腺の検査をすることもあります。

ホルター心電図で日常生活での異常を検査

日常生活における心臓の異常をチェック

ホルター心電図は、ホルダー博士が考案した日常活動中の長時間心電図記録です。患者さんによっては、不整脈や波形の異常がたまにしか現れず、短時間の検査では異常を見つけられない場合があります。
また狭心症や不整脈による心電図の変化のなかには、運動負荷心電図でも見つからないものもあります。ホルター心電図は、こうした異常を見つけるために、多くの場合、24四時間にわたり心電図を記録します。

胸部に3~5個の電極をつけて導線をまとめ、腰に装着した500g程度の記録装置に接続します。二~三誘導の心電図をテープレコーダに記録し、あとでコンピュータで解析する方法です。最近はテープを使わずに、lCメモリーに記録する小型のもの(50g程度) も出てきました。

ホルター心電図を付けたら入浴以外はふだんの生活をする

検査中は、ふだんと同じ生活をします。そうすることでで、動惇や胸痛などがどんなきっかけで起こるのかを確実に知ることができます。
じっととしていて何も症状が出なかったのでは、診断が下せないこともあります。ただし、防水がされていないので、入浴はできません。シャワーが可能のものもありますが、あまり普及していません。
記録器は安い新車くらいの高価なものですから、壊さないように、またよい記録をとるための注意点をしっかり守ります。
たとえば、電極がはずれるような激しい運動、大汗が出る運動は控えます。ただし、そうした激しい運動で症状が出る場合には、危険のない範囲で、そのような労作をしてみます。活動記録の装着と取りはずしは病院で行いますから、2回は病院に行くことになります。

胸に電極を貼るので、前開きの服を着ます。電極にかぶれやすい人は、前日にステロイドの入ったクリームを電極を貼る位置に塗っておくと、楽な場合があります。直前に塗ると、電極がはがれてしまいます。

行動記録もつける

検査中は行動記録も必要です。就寝、起床、食事のほか、移動、仕事、家事、飲酒、喫煙なども記録します。仕事でパソコンなどの作業を行うと動悸を起こす人もいるので行動は、細かく記入します。
何か症状があったときには、記録装置のボタンを押し、症状の内容と時刻、持続時間も書いてください。解析の結果は約1週間でわかります。ホルター心電図では、次のようなことがわかります。

  • 自覚症状が出ているときの心電図の変化。たとえば、胸痛の原因は狭心症か不整脈か、または心臓神経症か、など
  • ふだんの生活のなかで不整脈が出ているかどうか。出ているときは、その種類と程度
  • 狭心症や心筋梗塞につながる心筋虚血の有無とその重症度
  • 不整脈、狭心症の薬を使っている場合は、その効果
  • 心拍数の変化から自律神経の異常を検出。心不全や糖尿病があると、自律神経のうちの副交感神経の活性が低くなり、危険な不整脈が出やすくなる
  • ペースメーカを使っている場合は、装置が正常に作動しているかどうか

などがわかります。

運動負荷心電図

活動時の心臓を検査

安静時心電図はじっとしているときの心臓の働きを調べるもので、心臓に負荷がかかったときの状態は調べられません。

人間は、運動をすると、心臓は全身に血液を送るために、たくさんの酸素を必要とし、酸素の消費量が増加します。心筋に酸素を供給する冠動脈の血流量が少ないと、心筋は酸素不足になります(心筋虚血)。
また、心臓の機能が低下すると、安静時には症状がなくてーも、運動すると不整脈が起こったり、息切れの症状などが出ることがあります。この状態を調べるために行うのが、運動負荷心電図です。労作性狭心症では、胸痛などの症状が出たり、心電図に変化が現れます。痛みなどがない無症候性心筋虚血でも、心電図に変化が現れます。
運動負荷試験で運動が強くなると消えてしまう期外収縮は、あまり気にする必要はありません。反対に、運動負荷試験をすると出てくる運動誘発性不整脈の中には、生命を脅かす危険なものもあります。高脂血症や糖尿病、高血圧、肥満などで冠動脈硬化が疑われる場合にも、この検査を行うことがあります。

階段昇降法

運動負荷心電図検査で簡便な方法は、マスターの2階段テストです。年齢、性別、体重によって決められたリズムと速度で一定回数、2段の階段を昇降し、その前後に心電図を記録します。これで心機能のおおよその目安がつきますが、運動中に心電図や血圧をモニターしないので、運動中の変化がとらえられません。何か起こった場合、危険なこともあります。安全に止確な心電図をとるためには、トレッドミルか自転車エルゴメータを使います。

トレッドミル法

速度と傾斜の変わるベルトコンベア状のトレッドミルの上を歩いたり走ったり、運動負荷をかけて心電図の変化を調べます。
坂道を上る、急ぎ足で歩く、といった日常生活のなかで、心臓にどんな変化が現れるのかを調べることができます。
ベルトは連続的に、または2~3分ごとに、速度と傾斜が増していきます。最初はゆっくり、だんだんと駆け足ぎみになっていきます。ふつうは息切れ、足の疲れ、胸痛などで、運動ができなくなるまで歩きます(症候限界性最大負荷試験)。
運動中は血圧や心電図を連続的に測定します。年齢に応じた予測心拍数に達した場合は、危険な状態になる前に、運動量が十分とみなして終了することもあります。検査時問は状況により異なりますが、およそ30分程度です。

自転車エルゴメータ法

自転車のペダルをこぐ要領で、電気的に抵抗を調整した発電機を回して心臓に負荷をかけ、血圧や心電図をモニターします。
ペダルの重さ(抵抗)を変えることで、負荷量を変えていき、心電図の変化を見ます。検査時問はおよそ30分程度です。トレッドミルと違い、つまずいたりふらついても倒れることがありません。体重をサドルで支えるため、多少ひざや腰が悪い人でも、安全にできる利メリットもあります。心臓手術後や心筋梗塞の急性期、高齢者によく使われます。ただし、虚血の誘発という点ではトレッドミルのほうが優れています。

信頼できる運動能力測定

心臓病の治療目標のひとつに運動耐容能の改善ということが挙げられています。運動耐容能とは、どのくらいの運動ができるか、という能力です。運動耐容能が高い人は日常活動が活発で、いつまでも元気(不老)で長生き(長寿)できます。これは多くの研究で明らかにされていて、健康な人はもとより、心臓病の人にもよく当てはまります。

すべての心臓病の終末像は、心不全と呼ばれる多臓器不全状態または不整脈による死亡です。これらは運動耐容能が低い患者さんほど起こりやすいのです。心不全の人では、心臓のポンプ機能の善し悪しより、運動耐容能を調べるほうが、患者さんの予後を推測するのに役立ちます。心臓病の治療の評価に、運動耐容能を調べますが、正確に測定できるのが、心肺運動負荷試験(CPX)です。心肺運動負荷試験は、運動中の心臓と肺の機能を同時に測定する検査です。トレッドミルかエルゴメータを使い、呼気ガス分析用のマスクをして運動をします。運動中は心電図や血圧とともに、酸素の摂取量、炭酸ガスの排泄量、換気量などを測りす。

運動負荷心電図の情報に加えて、最大酸素摂取量などの運動耐容能や有酸素運動の上限であるAT (嫌気性代謝閾値) などの情報が得られます。これにより、心不全の重症度を判定できます。また、運動療法を行う際に、心臓に過剰な負担をかけずに安心して楽しめる運動強度などがわかります。4分間、安静時の心電図や酸素摂取量などを測定してから、運動を開始し、だんだん運動強度を増やしていきます。心電図変化や血圧異常がな.ければ、できるところまで続けます。
足が疲れるか、息切れが強くなるなどの症状が出たら中止します。試験の所要時間は30~50分程度です。マスクをつけても苦しくはありません。話すと呼気ガス分析データに影響します。とくに異常がない限り、黙ってふつうに呼吸をしながら検査を続けます。
運動後は6分間安静にして、心臓と肺の回復状況を調べます。一番がんばったところでの酸素摂取量を最大酸素摂取量といい、健康な人ばかりでなく、心臓病の人の生命予後の重要な指標になります。

心臓病の人では、最大酸素摂取量が3.5ml分/kg(1メッツ)増加すると、年間死亡率が12%ほど下がると言われています。

運動負荷テスト時の注意点

運動負荷心電図、運動負荷試験は、心臓に負担をかける検査ですから十分な注意が必要です。
検査室では、救急薬品や、いざというときのための電気ショック(直流除細動器) を用意しています。医師が立会い、とくに運動負荷試験の訓練を受けた臨床検査技師がようすを見ながら進めます。
ひざや足腰の弱い人は、事前に医師に伝えておきましょう。検査前には脈拍と血圧の測定を行います。体調がよくないときは、その旨を伝えてください。
途中で気分が悪くなったり、痛みが出たときには遠慮せずに、手を振るなど、あらかじめ指示された合図を送るようにします。前日は疲れが残らないよう、睡眠を十分にとります。食事は1時間前までに軽くすませます。極端な空腹、満腹はよくありません。たばこ、とくにお酒は厳禁です。上衣は電極をつけるので脱ぎ着がしやすいもの、下衣は運動用またはゆとりのある軽いズボン、ソックスを用意します。