心房細動 心電図 の特徴とは?波形の見方と診断基準を専門医が分かりやすく解説 します。心房細動(AF:Atrial Fibrillation)は、臨床で最も頻繁に遭遇する不整脈の一つです。心臓の上部にある心房が1分間に350〜600回という超高頻度で不規則に震え、その電気信号が不規則に心室へ伝わることで脈がバラバラになる状態を指します。
<h2>心房細動 心電図 の特徴とは?</h2>
心房細動(AF)は、心臓の司令塔が正常に機能せず、心房全体が無秩序に震えてしまう不整脈です。放置すると心不全や脳梗塞といった重大な合併症を招くリスクがありますが、心電図の基本的な特徴さえ押さえれば、専門的な知識がなくてもその兆候を理解することは可能です。
本記事では、心電図における「3つの決定的な特徴」や診断基準、そして臨床現場で専門医がどこに注目して判読しているのかを、図解を交えて分かりやすく解説します。
心房細動(AF)の心電図における3つの大きな特徴
心房細動は、心臓の司令塔である洞結節からの信号ではなく、心房内のあちこちで発生する無秩序な電気信号によって、心房が小刻みに震えてしまう状態です。心電図では、次の3点が診断の決め手となります。
1. P波の消失
正常な心電図では、心拍の前に必ずP波という小さな盛り上がりが見られます。心房細動では心房が正しく収縮していないため、このP波が消失します。
2. f波(細動波)の出現
P波が消えた代わりに、基線(波形の土台となる線)が細かく不規則に震えるf波が現れます。
- 波の形・大きさ・間隔がすべて不規則
- V1誘導やII誘導で特によく観察される
- 波が非常に小さく、直線のように見える場合もある
3. RR間隔の絶対不整
心室の収縮を示すQRS波と次の波までの間隔が、完全に不規則になります。
- 次の波がいつ来るか全く予測できない状態を「絶対不整」と呼ぶ
- 頻脈になることもあれば、徐脈になることもある
専門医がチェックする診断のポイント
心電図を判読する際は、以下の項目を総合的に評価します。
- P波が認められず、不規則なf波が存在するか
- RR間隔に一定の規則性がなく、完全にバラバラか
- QRS波は基本的に狭く正常だが、頻脈時に形が変化して見えることがある
紛らわしい「心房粗動」との違い
心房粗動では、基線が規則正しい「のこぎり状」の波形(F波)になります。波形が不規則な心房細動とは、ここが明確な違いです。
早期発見のために大切なこと
心房細動には、症状が出たり消えたりする発作性心房細動が多く存在します。医療機関の検査で異常が出ない場合でも、スマートウォッチや携帯型心電計を活用し、症状がある瞬間の心電図を記録することが診断につながります。
心房細動は脳梗塞の原因にもなるため、早期発見・早期対応が非常に重要です。