心筋梗塞 段階別 運動療法 について紹介します。心筋梗塞などのあとには 運動 再発 予防に効果的 病状に合わせた適切な運動を行うことが条件となります。
心筋梗塞 段階別 運動療法 運動 再発予防に有効 リハビリは退院後も必要
心筋梗塞などのあとには、心機能と身体機能の回復、社会復帰をめざし、再発を防ぐための心臓リハビリテーションを行います。心臓リハビリテーションのメインは、運動療法ですが、同時に病気の知識や薬の服用法、食事、生活での注意、応急処置、仕事のしかた、カウンセリングなども行われます。
いずれも医師、看護師、栄養士、健康運動指導士などが専門的な立場から指導します。最近は日本心臓リハビリテーション学会の認定試験にパスした心臓リハビリテーション指導士がいる施設もあります。心臓リハビリテーション指導士は、心臓病やその道動療法、運動生理学に十分な知識と経験を持つ人に与えられる資格です。
心臓リハビリにより死亡率が低下
心臓リハビリテーションは、さまざまな効果が証明されていますが、なかでも特筆すべきは、リハビリテーションプログラムに参加した患者さんを三年間追跡調査したところ、心血管系による死亡率が20~25%も減少していることです。
これは心筋梗塞に対するβ遮断薬療法や心不全に対するアンジオテンシン変換酵素阻害薬療法の効果と同等であるとされています。運動療法単独でも、心血管系による死亡率は約15%低下しています。
心臓リハビリは半年間保険適用
心臓リハビリテーションは、↓般に入院中の急性期(1140ページ)、退院後の回復期、維持期の三段階に分かれます。
現在、心臓リハビリテーションは、施設認定を受けている医療機関で行うと、発症から6ヶ月間、健康保険の適用を受けられまま安全にしかも効率的にリハビリテーションを行うには、退院後もできるだけ、こうした施設に通院して指導を受けることをお勧めしま宅施設では、医学的管理のもとに、前述の心臓リハビリテーション指導士による指導が受けられます。
運動の種類、強度、時間、回数などの運動処方は、運動負荷試験の結果によって作成されます。大きな筋肉を使う律動的な運動を、AT以下の無理のないレベルで行います。エルゴメータやトレッドミル、ウォーキング、軽いエアロビクスなどが中心で、メニューは患者さんごとに異なります。
最近は機械を使った軽い筋力トレーニング(レジスタンス運動) なども取り入れられています。ストレッチング、体操などの準備運動(ウォームア
ップ) と整理運動(クールダウン) も行います。
レジスタンス運動とは
レジスタンス運動(Resistance Exercise)は、筋力トレーニングやウェイトトレーニングの一種で、筋肉に対して抵抗を加えることで筋力や持久力を向上させるエクササイズです。この運動は、体のさまざまな筋群を鍛えるのに役立ち、健康維持や体力向上、体型改善などに効果的です。
運動を行う際の注意
運動は、低いレベルから開始し、徐々にレベルを上げていきます。はじめは弱い運動強度で、少しずつからだを慣らしていきます。リハビリをはじめた当初は、急速に運動能力が回復しますが、一定のレベルに達すると、目に見える効果が現れにくくなります。そのときにがんばり過ぎると、逆効果です。
「楽~ややつらい」と感じる程度を維持することが大切です。運動施設に通えず、自分で運動を行う場合も、専門医の指導を受け、定期的に運動負荷試験などの医学的検査を受けることが大切です。
自分の運動能力と限界を把握し、次のような注意を守って安全に長続きさせてください。
心筋梗塞後の運動療法について まとめ
心筋梗塞後の運動療法は、心臓の機能回復を促進し、再発のリスクを減らす重要な要素です。ただし、安全に進めるためには医師の指導のもとで行う必要があります。以下に、心筋梗塞後の運動療法のポイントを解説します。
運動療法の目的
- 心臓の回復をサポート:血流を改善し、心機能を向上させる。
- 生活の質(QOL)の向上:体力を回復し、日常生活の活動性を高める。
- 再発予防:心血管リスクを軽減する。
- 精神的健康の向上:ストレスや不安を軽減する。
運動開始のタイミング
- 心筋梗塞後、運動療法を開始する時期は病状や体調に応じて異なります。
- 急性期(1~4週):リハビリ専門家の指導のもと、軽い動作や呼吸法から始めます。
- 回復期(1~3か月):徐々に負荷を増やし、ウォーキングや軽いエクササイズを導入。
- 維持期(3か月以降):持続的な運動プログラムで健康を管理。
推奨される運動の種類
- 有酸素運動(心肺機能を改善)
- ウォーキング
- サイクリング(室内バイクも可)
- 水中ウォーキング
- レジスタンス運動(筋力維持)
- 軽いダンベルやゴムバンドを用いた運動
- 自重を使ったスクワットやプッシュアップ
- 柔軟運動(関節可動域の維持)
- ストレッチやヨガ
運動の強度
- 軽度~中等度が適切です。
- 目安:軽く息が上がる程度(会話が可能)。
- 心拍数:医師が設定した目標心拍数を守る。
- 運動時間:1日20~30分、週3~5回を目指す。
- 禁忌:過度な疲労感、胸痛、息切れがある場合は運動を中止。
注意点
- 医師の監督下で開始:カーディオリハビリテーション(心臓リハビリ)プログラムを利用。
- バイタルサインの確認:運動中は心拍数や血圧を適宜チェック。
- 無理をしない:急激な負荷は心臓に負担をかける可能性がある。
- 持続的なフォローアップ:定期的な診察で進捗を確認。
運動療法と併用する生活改善
- 食事:低塩・低脂肪の食事を心がける。
- 禁煙:喫煙は冠動脈疾患のリスクを高めるため禁煙を徹底。
- 体重管理:適正体重の維持。
- ストレス管理:心理的サポートも重要。
心筋梗塞後の運動療法は、医療チーム(医師、理学療法士、看護師など)のサポートを受けながら進めることが、健康維持と再発予防の鍵となります。