心臓弁膜症 高齢者 運動 はどの程度やっていいのかいまひとつ分からない人が多いです。実際にどの程度の運動をやっていいのか、また、運動をしても心臓への悪影響がないのかとても不安になる人もいると思います。運動の目安は、「ややきつい」「汗ばむ程度」「運動中に会話ができる程度」が基準ですから、これ以上は危険な領域になります。適度な運動は、心臓への負担軽減に働きますが、オーバーすると心臓に負担になってしまいます。
1. 運動を始める前に知っておきたいリスク
心臓弁膜症の高齢者が運動をする際には、以下のようなリスクに注意が必要です。
- 心臓への過度な負担
激しい運動は、弁膜症による血流の乱れや心機能の低下を悪化させ、不整脈や心不全のリスクを高めます。 - 突然の症状出現
運動中に息切れ・動悸・胸痛・めまい・失神などが現れたら、心臓の異常の可能性があるため注意が必要です。 - 転倒のリスク
高齢者はふらつきやすく、運動中に転倒して骨折などのけがをする危険があります。 - 脱水・熱中症
脱水によって血液が濃くなり心臓に負担がかかるため、特に暑い季節は注意が必要です。
重要ポイント:運動を始める前に必ず主治医に相談し、心肺運動負荷試験(CPX)などで適切な運動強度を把握しましょう。
2. 適した運動の種類と強度
運動の種類(おすすめ)
- ウォーキング:平坦な道でゆっくりとした散歩からスタート。
- 軽い自転車運動(エルゴメーター等):膝・関節への負担が少なく安全。
- 水中ウォーキング・水泳:浮力によって関節の負担が軽くなる。ただし水圧の影響を考慮し、医師と相談を。
- 軽い体操・ストレッチ:柔軟性の維持、筋肉の緊張緩和に有効。
- 低強度の筋トレ:息を止めず、声を出しながら行うスクワットやかかと上げ等。
運動強度の目安
- 「ややきつい」「汗ばむ程度」「運動中に会話ができる程度」が基準。
- 脈拍は、安静時+20~30が目安。ただし医師の指示があればそれを優先。
- 無理をせず、徐々に強度を上げるのが基本。
運動時間・頻度
- 目標:1回30分~1時間、週3~5回程度。
- 始めは短く:5~10分からスタートして徐々に時間を延ばす。
- 休養日を設ける:毎日ではなく1日おきの運動でもOK。
3. 運動中の症状や体調変化に注意
以下の症状が出たら、すぐに運動を中止し、必要に応じて医療機関を受診してください。
- 強い息切れや呼吸困難
- 動悸や脈の乱れ
- 胸の痛み・圧迫感
- めまい・ふらつき・失神感
- 強い疲労感・翌日まで残る疲れ
- 吐き気・嘔吐
- 足のむくみの悪化
注意:高齢者は症状を「年のせい」と見過ごしがち。小さな変化も軽視せず、早めに医師に相談しましょう。
4. 運動療法の期待できる効果
- 運動耐容能の向上
呼吸困難や疲れやすさが軽減し、日常生活が快適になります。 - QOL(生活の質)の改善
体力がつき、外出や趣味活動がしやすくなります。 - 心肺機能の改善
心臓と肺の効率が向上し、持久力が高まります。 - 精神的な安定
運動によるリフレッシュ効果や睡眠改善も期待できます。
まとめ
心臓弁膜症の高齢者にとって、運動は体調維持や生活の質向上に有効ですが、安全に行うためには主治医の指導のもとで無理のない運動を選ぶことが必須です。体調の変化に注意しながら、楽しく継続できる運動を心がけましょう。