心臓上部が細かく震える「心房細動」は高血圧の人に多発、放置すれば死亡率の高い脳梗塞の原因に

電気信号が乱れて心房が細かく震える

高齢化が急速に進む日本において、特に50歳以上の中高年に急増し、突然死を起こす危険性の高いタイプの不整脈(脈の乱れ) があります。それが心房柵動です。

心房柵動は、心臓の上部にある心房という部位に伝わる電気信号が乱れて、拍動(心臓の収縮運動) が速くなる病気です。

心臓の内部は、右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋に分かれています。心房は血液をためておく場所、心室は全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。

心房は、規則的な電気信号に従って収縮し、蓄えた血液をポンプである心室に送り出します。心室も電気信号によって規則的に収縮し、全身に血液を送り出します。健康な状態では、心房も心室も規則的に収縮するため、血液は滞りなく全身に運ばれます。

ところが、心房細動になると、電気信号が乱れるため、心房が1分問に400〜600回の速さで細かく震えるように動きます。その心房の震えが心室にも伝わると、心室は1分間に100回以上の速さで不規則に収縮するようになり、頻脈が起こります。

る不整脈)が起こるのです。心房細動が起こって頻脈が長引くと、心室の収縮力が低下していくため、心臓の機能が徐々に衰えていき、全身に必要な血液を送り出せなくなる心不全に陥ります。心房細動の人が心不全を発症する危険度は、心房細動のない人に比べ、約4倍も高いことがわかっています。

大きめの血栓ができやすい

さらに、心房細動が怖いのは、血栓(血の塊)ができやすくなることです。心房細動が起こると、心房が正常に収縮できなくなるため、心房内の血液がスムーズに送り出されずに、よどみやすくなります。

血液はよどむと固まりやすくなるという性質があるため、心房内に血栓ができやすくなります。特に血栓のできやすい場所しんじが、心房の端にある心耳という袋状の部位です。心耳の深さは4cm程度あるため、そこでできる血栓も2cmほどの大きなものになることが多いのです。

こうしてできた大きな血栓が、心臓の外に出て血流に乗ると、太い血管につまりやすくなります。最も多いのが、脳の動脈につまることです。脳の動脈がつまると脳梗塞が引き起こされ、脳の広範囲が障害されます。この脳梗塞は心臓が原因で引き起こされるため「心原性脳梗塞」と呼ばれます。

心原性脳梗塞は、脳の太い血管が突然つまってしまうため、死亡率が高く、命が助かった場合でも、言葉が出なくなったり手足がマヒしたりする重い後遺症が残る可能性が高いといわれています。そして、心房細動のある人は、ない人に比べて、脳梗塞が起こる危険度が約5倍も高いとされています。

生活習慣の見直しも

心房細動自体は、命に直接かかわるものではありません。しかし、脳梗塞や心不全といった命にかかわる病気を招くため、注意が必要です。

海外の研究では、心房細動を持つ人が1年間のうちに死亡する確率は、健康な人と比べて約1.5〜2倍になることもわかっています。

心房細動は、50代から起こりやすくなり、60代ごろから急激に増えはじめます。また、男性は女性の2倍、心房細動になりやすいこともわかっています。さらに、高血圧の人は、正常な血圧の人の約1.5倍、心房細動になりやすいとされています。

また、睡眠不足や過労は自律神経のバランスを乱すため、心房細動などの不整脈を招く危険が大きくなります。そのほか、精神的・肉体的ストレス、お酒の飲みすぎ、喫煙なども、心房細動を招く要因です。心房細動を防ぐためには、こうした生活習慣を見直すことも重要です。

生活習慣の見直しに関連するページ

心房細胞とは
心房細動は、心臓の上部にある心房という部位に伝わる電気信号が乱れて、拍動(心臓の収縮運動) が速くなる病気。
症状
心臓の拍動のリズムが速くなり、胸ガドキドキしたり、息切れが起こったり、胸痛や胸の圧迫感などの症状が出る。
放置すると
心房の端にある心耳という部分で血流が悪くなって、血栓ができる。その血栓が血流に乗って脳へ運ばれ、脳梗塞を引き起こす。