心臓病は再発したり、持病になる人もいるが、生活習慣の改善で予防も改善も可能

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

再発予防には体質改善が必須

心筋梗塞などの心臓病は、できるだけ早く治療を開始する必要があります。特に、動脈硬化が進行して「冠(状)動脈」の一部が完全につまってしまう「急性心筋梗塞」では、激しい胸痛などの発作が続き、極めて危険な状態。一刻も早い病院での治療が必要です。

一方、注意したいのは、心筋梗塞が起こっていても胸痛などを感じない人もいるということ。これを「無痛性心筋梗塞」といい、脳梗塞や糖尿病といった持病のある人や高齢者など、痛覚に問題を生じている人に多く起こります。こうした人は異常に気づきにくいので、定期的な心臓の検査が必要です。

病院での心筋梗塞の治療は、心肺蘇生法、電気ショックなどで、救命のための処置や壊死を最小限に抑える治療が行われます。また集中治療室で、血栓を溶解する治療、バルーンやカテーテルなどによる血管の内腔を広げる治療なども行われます。そして、急性期を乗り切ると、心臓のリハビリによって社会復帰を図っていきます。

心筋梗塞を発症して適切な治療を受けると、たいてい1ヶ月ほどで症状が落ち着いてきます。脳の血管がつまる脳梗塞ではマヒや言語障害、認知症などの後遺症が出ることが多いのですが、心筋梗塞ではそういうことがほとんどないため、ふつうの生活にも比較的すんなり復帰できます。

しかし、症状が安定しているとはいえ、決して安心というわけではありません。壊死した心筋の一部は元に戻らないし、心臓も元のようには働けません。何よりも心筋梗塞の原因となった動脈硬化が進みやすく、血栓もできやすい体質は変わっていないからです。そうした体質を改善しなければ、再発する可能性が高く、当然、死亡へとつながる危険性も減りません。

食習慣の改善や運動・禁煙が肝心

心筋梗塞の再発を防ぐためには、狭心症の治療と動脈硬化の進行を防ぐための基礎疾患(高血圧や糖尿病などの病気) の薬物治療(降圧薬・血管拡張薬・抗血小板薬などの投薬)が行われます。

さらに、日常生活面での注意も必要です。

心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患は、生活習慣と大きくかかわっている病気です。事実、虚血性心疾患の患者さんの多くは、高血圧や糖尿病・脂質異常症(血液中の脂質が異常に増えた病気)といった生活習慣病を持っています。そのため、動脈硬化が進行し、心筋梗塞などを起こしてしまうのです。

そこで、虚血性心疾患の発症予防(一次予防)にも再発予防(二次予防)にも大切なのは、動脈硬化の進行を防ぐための生活習慣の改善。その主なポイントは、「食生活の改善」「運動する習慣をつける」「禁煙」の3つです。具体的に説明しましょう。

食生活の改善

食事は「減塩、低コレステロール、栄養のバランスよく」が基本です。塩分のとりすぎは血圧を上げ、心臓に負担をかけるので控えめに(高血圧の人は1日グラム未満)。肉やバターなどの動物性脂肪のとりすぎも、血中の悪玉(LD L)コレステロールを増やすので、やめましょう。

一方、青魚(サバ、イワシ、サンマなど) に含まれるDHA などの脂肪は、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用があるので積極的に食べるようにしてください。
血栓の予防にEPA・DHA

運動習慣

適度な運動は、血中の善玉コレステロールを増やし、肥満や高血圧・高血糖を改善することがわかっています。冠動脈の動脈硬化の改善にもつながります。しかし、激しすぎる運度は心臓の負担になるので、ウォーキングなどがいいでしょう。

禁煙

喫煙は、血管を収縮させ、1本吸うだけでも血圧を20mmHG以上も上昇させます。さらに血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増やして血栓をできやすくしたり、血管をつまりやすくしたりするのです。厚生労働省の調査によると、喫煙者が心筋梗塞などの心臓病で死亡する危険度は、非喫煙者の2倍以上にもなることがわかっています。

一方、禁煙すると、心臓病のリスクは格段に下がります。そのほかにも、生活上で心がけたいのは「お酒を飲みすぎない」「太りすぎない」「ストレスをためない」「十分な睡眠をとる」などです。治療を受け、よくなったと思っても、ぜひ、以上のような点に注意して生活しましょう。禁煙はこちら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。