インフォームドコンセプト
医師が患者さんに手術(ここではカテーテルによる治療も含めます)を勧める理由には、おおむね次の2つがあります。
- 薬などによる治療だけでは、症状がよくならない
- 薬物療法よりも効果が上がる見通しが高い
心臓病の場合、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心臓病、一部の不整脈、重症の心不全、大血管の病気、一部の心臓弁膜症、先天性の心臓病などのために心臓の横能が非常に低下したときに、手術あるいはカテーテルによる治療を勧めます。
どんな治療を行うかは、医師の判断のみで決めるわけではありません。最近は「インフォームド・コンセント」という言葉が広まってきました。「説明に基づく同意」と訳し、医師が病状や治療法の説明を行い、患者さんや家族は内容を検討したうえで、納得したら同意するということですが、最近はこれよりも一歩進んだ解釈をするのが一般的です。
つまり、医師は治療法について選択肢があれば、それぞれについてメリット、ディメリットを説明し、どの治療法を選択するかは、患者さんが決めるという考え方が多くなっています。患者さんの権利を尊重する意味では、これが理想的といえましょう。
しかし、現実問題として、患者さんや家族が、病気についての専門的な知識をすべて持っているかといえば、そうとは限りません。医師は患者さんに情報を捉供する必要がありますが、そのうえで専門家としての判断も伝え、最終的な決定を思著さんにゆだねる
ということになるでしょう。
医師が説明明する内容
- なぜ手術が必要か。また、手術によって得られるメリット
- 手術の手順、方法
- 手術の安全性と危険性
- 発生する可能性のある合併症や後遺症
- 手術直後に必要な処置と入院中の治療
- 回復の経過と予測
こうした説明は、緊急手術時にも行われます1ただ、本人も家族も動転していて開き逃すことがあるかもしれません。
説明は、患者さんだけでなく、看病する家族の方にも知っておいていただきたいものです。
できれば複数の人で聞くことをお勧めします。
ただし、説明する内容は、これまでの経験に基づいたものに限られます。
手術は万全を期して行いますが、ときに予測できない事態が起こりうることも知つておいてください。
状況が変われば、そのときにも医師は必ず説明を行います。患者さんや家族の中には、専門的な内容はわからないから医師に任せるという人も少なくありません。
その場合も可能な範囲で前述した内容は把握しておいてほしいものです。
医師の説明がわからない、というときは、遠慮なく質聞をしてください。
希望や心配ごとも伝える
さらに大切なのは、患者さんが今後どのような生活を送りたいのかを、主治医にはっきり伝えることです。「手術後、早急に職場に復帰したい」、「危険な手術は受けたくない」、といった希望は遠慮なく医師に伝えてください。「高齢なので、体力的に無理なのではないか」、「ほかに方法はないのか」といったことも、もちろん大切な質問です。医師は患者さんにとって最良の方法を考え、患者さんにアドバイスをすることになります。それには、こうした患者さんからの情報が非常に重要です。