女性の虚血性心臓病の人が生活をする上で気を付ける点

閉経後は、動脈硬化がすすみやすい

女性ホルモンのエストロゲンは、肝臓のLDL受容体を増やして血清中のLDL圧を安定させ、血糖値のコントロールにも大きな役割を果たしています。
また血管に直接作用して血管の収縮をコントロールしたり、内皮細胞や血管平滑筋細胞などの作用にも影響をおよぼしています。
閉経前の女性では、男性に比べて虚血性心臓病を発症する率が非常に低いのですが、閉経後は、高脂血症、高血圧、高血糖、肥満などが同時進行的に増加することが多いようです。年をとるにつれて動脈硬化が進行し、65歳以上の女性の心筋梗塞は男性とほぼ同率になります。

更年期後は、健康に注意

更年期前後の女性では、労作性狭心症と同様の胸痛が起こることも少なくありません。更年期に伴う自律神経の失調や、過労、睡眠不足、ストレスなどが誘因となっていると考えられています。原因がはっきりしないケースも多く、今後臨床の結果が待たれます。
この時期は血圧も不安定になることがあり、めまいや起立性低血圧を起こす人もいます。更年期の症状は、年齢のせいだからしかたがないと考えがちです。また、男性に比べると、健康診断を利用する人が少なく、とくにからだに負担がかかる検査に対して消極的であるというデータもあります。更年期前後には健康の総点検として、自覚症状がなくても健康診断を受けることが大切です。
その後も、毎年一回は健康チェックを受けるようにしたいものです。更年期前後には、基礎代謝量も減ってきます。エストロゲンの急激な減少も加わり、太る人が少なくありません。食べ過ぎにも注意するとともにふだんから活動量を増やすことも大切です。運動は、更年期にありがちな自律神経のアンバランスを整える作用もあります。

ホルモン療法も

更年期障害の治療法として行われるホルモン補充療法(HRT) は、高LPa血症などの高脂血症、骨粗餐症の予防としても有効であることがわかっています。ただし、血栓症があったり、乳がんの患者さんは、エストロゲンが病状を悪化させるので利用できません。
副作用として乳がんの発症が問題になっていますが、これは定期検診により早く発見できれば治療が可能です。作用と副作用を勘案し、抗高脂血症薬などの服用も含めて検討することが大切でしょう。

閉経前から危険因子には注意する

閉経前の女性は、男性に比べて虚血性心臓病の発症が少ないのですが、エストロゲンが減少してくる月経前には、狭心症の発症率が高くなります。喫煙や高脂血症、家族歴などがある女性では、エストロゲンが最も少なくなる月経直後に、心筋梗塞が起こりやすいとの報告があります。
喫煙は動脈硬化の重大な危険因子ですが、女性の喫煙率はなかなか減りません。若い女性では、やせていてもコレステロールが多い人がいます。虚血性心臓病は、危険因子が重なると発症しやすくなります。禁煙、運動、適切な食事療法を行って、少しでも危険因子を減らすことが大切です。