内臓脂肪型肥満は動脈硬化の原因に
肥満とは、からだにとって余分となった体脂肪が蓄積した状態です。体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、虚血性心臓病を引き起こすのは、おもに内臓の回りに溜まる内臓脂肪です。
内臓脂肪型肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症、痛風など動脈硬化と関わりの深い病気を引き起こします。ビール腹のように突き出したおなかをCTスキャンや超音波装置で観察すると、脂肪の蓄積が見られます。
体重が増加していても、皮下脂肪だけが増えているのなら、内臓の病気の心配は少ないですが、内臓脂肪が増えている場合は、肥満症として治療することが必要です。
内臓脂肪は危険な脂肪ですが、皮下脂肪に比べると代謝が活発で、分解もしやすいとされています。食事や運動で体重を減らすと、まず二週間ほどで内臓脂肪が減ります。高脂血症や高尿酸血症、脂肪肝なども改善することが多くなっています。
膝・腰を強化しつつ有酸素運動をする
体脂肪を燃やすには、有酸素運動を20分以上続けて行うのが効果的です1最近の研究では、10分くらいの細切れの運動でも、回数が多く運動の習慣が持続すれば、同様の効果が得られるといいます。
ふだん時間がとりにくい場合は、こまめにからだを動かし、通勤時問に歩く距離を延ばすなどの工夫をするとよいでしょう。
活動的な生活を続けると基礎代謝量がふえ、安静にしているときでも消費するエネルギーが多くなります。
太っている人では、ひざや腰への負担が大きく、長距離を歩くのがむずかしい人もいます。いすに座って下肢を水平に上げたり下ろしたりする体操は、ひざを支える筋肉の強化に役立ちます。
腹筋運動は、腰痛の予防に有効です。あお向けに寝て、ひざを曲げ、おへそが見える程度に上体を起こして、その姿勢を数秒維持する体操は、手軽にできる腹筋のトレーニングです。継続が難しく途中でやめてしまう人が大変ですが、継続して脂肪が落ちてくると、体の調子が良好であることが実感できます。
1ヶ月のダイエットは1~2kg程度が最適
当然、食事は食べる量を控えますが、栄養の質が低下しないような注意が必要です。間食や甘い飲み物、酒など糖質以外の栄養素が少ないエンプティ食品を中心に、食べる量を減らし、エネルギーが低くて、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な野菜や海藻、きのこなどを多めにとりましょう。
体重は、1月に1~2kgくらい減らすのが適切です。食事を減らすだけでは、筋肉がやせて体力が低下します。リバウンドといって体重が元に戻りやすく、その時には体脂肪が増えて、さらに太るという悪循環になります。運動を併用すると、筋肉を落とさずに減量することが可能です。